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リハビリの効果がないと感じるのはなぜか?~その対処法について~

コラム

リハビリと聞いて、みなさんはどんな印象をお持ちでしょうか?

過去にリハビリを経験し良くなった方もいれば、
家族がリハビリを受けたが、あまり良くならずに今現在も困っているという方もいるのではないしょうか。

このように、
リハビリの効果は必ず良くなるというものではなく、

「良くなる人もいるし効果がない人もいる」

というような認識となっているかと思います。

そうは言っても、
このコラムを読んでくださっている方は

「少しでも良くなりたい」
「何か効果を高める方法はないのか」

ということをお探しなのではないでしょうか?

今回は上記のようなことでお悩みの方に、

  • リハビリの効果がでないと感じる理由
  • リハビリの効果を高めるポイント

上記の点を中心にご説明していきますので、最後まで読んでいただけると幸いです。

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目次

そもそもリハビリは何の為にしているのか?

現在の日本の制度では、
腰の骨折や脳梗塞、交通事故など大きなケガや病気になると、
大体の方は病院に入院することになります。

病院に入院していると、

「今日からリハビリをしましょう」

といった形で、
さも当たり前かのようにリハビリがはじまります。

リハビリをしたことがある方も、ない方も、
リハビリと言えば「きつい」「しんどい」という印象があるかと思います。

そんなしんどい、キツイことならば、
できる限りしないで済めば良いと考える方も多いでしょう。

では、なぜリハビリをおこなう必要があるのでしょうか?

リハビリとは

リハビリをおこなう理由とその経緯を簡単に説明すると、以下の通りです。

ケガや病気を発症し、そのケガや病気の症状によって、
退院後にこれまで通りの生活を送ることが難しいと判断した場合に「リハビリテーション」が医師の指示の下、
処方されます。

ここでのポイントは

”これまで通りの生活を送ることが難しい”

というところです。

脳梗塞により重度の片麻痺があるある場合、
このまま何もせずに退院しても、これまで通りの生活を送ることは困難であるため、
何らかの治療をする必要があります。

その治療の選択肢としては

  • 外科的な治療(手術)
  • 投薬による再発・重症化の防止
  • リハビリテーション

などが挙げられます。

この中でも実際に生活の中で必要な動作を再びおこなえるように訓練するのが、
「リハビリテーション」です。

リハビリの目的

リハビリの目的についての詳細は先日のブログでも書かせていただいたので、ぜひご参照下さい。

ここではかいつまんでご説明させていただきますが、
要するに、

その人がその人らしく生活できるようにリハビリを通してその動作の訓練をしている

ということです。

症状の重症度の違いによらず、
どんな人でも、
動きや道具を工夫をしたり、
場合によっては人の手を借りたりしながら、
これからも生活が続けていけるようにするためにリハビリはおこなっています。

しかし、
一生懸命リハビリをしていても、
場合によっては効果を感じられないということも少なからずあります。

次の章からはリハビリの効果について解説していきます。

リハビリの効果とは?

リハビリの最大の効果とは

目標としている生活にいかに近づいているか

ということかと思います

リハビリは様々な病気やケガに対して、
その人の症状に応じたリハビリをおこなうことで、
その症状を改善し、できなかった動作を再びおこなえるようにしていくものです。

そもそもなぜリハビリはそのような効果を出すことができるのでしょうか。

リハビリでなぜ改善するのか?

今回は大まかに

  • 圧迫骨折や変形性膝関節症などの整形疾患
  • 脳梗塞や脳出血等の脳卒中

上記の2つを例に身体的な改善について簡単にご説明します。

整形疾患の場合

MRI Thoracic lumbar spine show moderate pathological compression fracture of T12 level.

分かりやすく腰椎圧迫骨折を例にしてみましょう。

腰椎圧迫骨折はドスンと座るなどの衝撃で腰椎を骨折してしまうものですが、
骨折後はコルセットを着用し、体幹部分が動かないように保護します。

このコルセットを着用している間、安静にしていることで体幹部分のみでなく、
四肢の筋力が衰えたり、筋肉や関節が固くなったりと、
退院後に元の生活を送ることが困難になることが予想されます。

このような場合、
骨折したところの治療だけではなく、
それ以外の部分が悪くならないように、
筋力をつけたり、筋肉や関節が固くならないようにするようなリハビリをおこないます。

骨折の治癒に関してはリハビリではどうすることもできないので、
コルセットで固定することでその治癒を促します。

こうして、骨折の治癒も進みコルセットを外しても、
安全に、かつ再発しないよう生活できるようにするところまでが腰椎圧迫骨折のリハビリです。

脳卒中の場合

次に脳梗塞を一例に挙げてご説明します。

脳梗塞は脳内の血管が詰まることで、その血管が栄養を与えていた脳の領域が障害をうけるため、片麻痺等の症状を呈するものです。

本来、脳からの神経信号が身体を動かすようにおこなっているものが、
途絶えてしまう状態になるという事です。

このような場合、
リハビリでは何をおこなっているのかというと、
それには大まかに2つのパターンがあります。

  1. 途絶えた神経回路を再び開通させる
  2. 別の神経回路をつくるように促す

1.はダメージを負ったとはいえ、その程度によっては脳も再び活動するようになってくれることがあります。

2.のパターンはダメージを負った脳とは別に現在も活動している脳の領域から、新たに神経回路をつくり、動きにくくなった身体を再び動くように促す方法です。

どちらにも共通することは、

  • とにかく身体を動かし、刺激を入れ
  • 刺激を入れる回数は50~100回以上

他にも、自分の意志で動かしている感覚をもつなど、
いろいろとありますが、大まかにはこの2つです。

リハビリでおこなうことで効果が得られるまでには、
個人差だけでなく、脳のダメージの程度や部位によっても大きく異なります。

運動療法で改善を目指す

前章でも少し触れましたが、

  • 整形疾患の場合は筋力をつけるや関節を動かす
  • 脳卒中の場合は身体を動かし刺激を入れる

などのリハビリが必要であるとご説明しました。

つまり、リハビリでも特に理学療法においては
運動療法といい、
運動することを通して状態の改善や病気やケガを防ぐことをしています。

具体的な運動療法としては

  • 筋力トレーニング
  • ストレッチ
  • 有酸素運動
  • 無酸素運動
  • 神経筋促通運動
筋力トレーニング
ストレッチ
有酸素運動
無酸素運動
神経筋促通運動

などがメジャーな運動療法です。

筋トレやストレッチといった言葉は一般的にも使われていますが、
これもリハビリの手段として扱われています。

リハビリではこれらの運動療法をその方の状態に応じて適切な方法を選択し、
リハビリとしておこないます。

しかし、運動療法によるリハビリをおこなっていても、
なかなか効果がでにくい場合があります。

なぜそのようなことがおこるのか、次章で解説していきます。

リハビリの効果が出にくい原因は?

冒頭でもご説明しましたが、
リハビリの効果は絶対ではないので、
どうしても効果が出にくい場合があります。

具体的には以下のようなことが原因となっていることが多いです。

4つの改善阻害要因

リハビリ効果を阻害している要因を4つ挙げました。

身体状態の問題

例えば骨折していてギプスやコルセットを装着していて動かせない場合や
医師の指示でリハビリができない場合、
血圧などのバイタルサインが安定せずリハビリが進めにくい場合など
身体的な原因でなかなかリハビリが思うようにできない場合は
効果を感じにくいことがあります。

また、自身ではコントロールできない体調等によってもリハビリに影響するため、
積極的なリハビリができないためにリハビリをしていても、効果が出にくい場合があります。

認知機能の問題

リハビリの効果には認知機能も大きく関わってきます。

認知症のある方は病院から自宅への退院が困難なケースが多い
Author Name(白石ら,回復期リハビリテー ション病棟における脳卒中患者の日常生活活動の実行状況変化とその要因.理学療法学,2005, 32(6): 361-367. より)

というような報告もされている通り、認知機能と生活水準を高くすることは関連が高いと言えます。

また、この文献によると、認知機能が低い場合は運動機能の改善も阻害される、
と報告しています。

脳卒中では発症後に高次脳機能障害として認知機能の低下も認める場合があり、
このことが原因で改善に苦慮することもしばしばあります。

セラピストの問題

この問題は本来であればあるべきではないですが、セラピスト個人の差というのはどうしても出てきてしまいますね。

  • セラピストとしての経験やスキル
  • 人として信頼できる人か
  • セラピストとの相性

このあたりはどうしてもセラピストも人なので仕方がないですが、
リハビリの効果という面ではやはり知識やスキルに勝る物はないですね。

最初は信頼できなくても、効果を実感できれば信じていけるかもしれないですし。

上手いセラピストは経験も豊富なので、
”この場合はどうすると良いのか”
“これが違うならこれかな”
というようにリハビリの引き出しがとても多いセラピストの方が、
リハビリの効果としても高く出るのではないかと思います。

ゴール設定の問題

ちゃんと目標を立ててリハビリをしているか?という事も重要です。

  • 目標があいまいでどうなりたいのか分からない
  • 退院して家に帰ったらどんなことがしたいのかが不明確

この場合、
セラピストも何をすればよいのか分からなくなってしまいます。

そのため、どうなりたいのかリハビリを受ける人も明確にしておく必要があります。

前述した認知機能のところにも通じますが、
本人が意志をもって目標を設定できる場合もありますが、
そうでない場合もあります。

その場合はご家族や主となって介助する人がその人とどのような生活を送りたいか、
という事になるのではないかと思います。

なぜ目標を立てることが効果とつながるのかについては後述します。

どんなリハビリが効果的か?

リハビリの効果が出にくい原因はお判りいただけたかと思います。

もちろん前述したような内容以外のことも原因にはなってくるとは思いますが…。

では反対に、
リハビリをより効果的にするにはどうすれば良いのでしょうか?

今回は3つのポイントに絞ってご説明します。

効果的なリハビリのポイントは3つ

ゴールセッティング

「将来はこんなことができれば良いな」

ということをセラピストに伝えることで、
そのためにはこんな動作もできるようになって、
これもできるようにならないと…

というように、
”長期的な目標”に向けてのプランがつくられていることが重要です。

これはリハビリの効果を高めると言うよりは、
何をもって効果が出たと判断するのかという判断軸をつくる作業でもあります。

つまり、目標を立てることは
その効果が出たかどうか確認するためにも必要不可欠です。

例えば、
脳出血の方で寝たきりの人が「トイレまでひとりで歩いていきたい」という目標を掲げた時に、
最終的に効果が出たかどうかは歩けたかどうかで分かりますが、
そこに至るまでには何も効果が出ていないという事になってしまいます。

そのため、まず必要なのはひとりで起きあがれること、その次は立ち座りができる、次に立った状態でバランスがとれる、そして歩くことができる、立った状態でトイレの扉が開けられる…

というように「トイレまで歩く」という動作に至るまでに
必要な動作がひとつずつできるようにならなければ、目標達成とはいきません。

「起きあがる」「立ち座る」「立つバランス」「歩く」「扉を開ける」というようにそれぞれのステップを踏んで
最終的な目標を達成できるようにスモールステップを設けることで、
リハビリがちゃんと進んでいる、つまりは効果を実感しながらリハビリができる、という状態になります。

適切な評価とフィードバック

前章でもお伝えしたように認知機能の低下はリハビリ効果を下げる可能性があります。

逆に言えば、
しっかり理解しながらリハビリができればより改善効果が期待できるという事です。

そのため、セラピストはどういう状態なのかを適切に評価・確認し、
それを理解していただけるよう伝えること(フィードバック)をしなければなりません。

その上で、前述した目標とすり合わせ、
リハビリを受ける人も一緒に今後のプランを考えるという事が望ましいです。

実際に何も説明がなければ、どういう目的でおこなっている練習なのかも分からず、
実際の動作に結びつかないということは往々にしてあります。

より結果を追求するのであれば、
なんのためのリハビリなのか、理解した上でおこなえるように、説明をもらうことが大切です。

リハビリに向き合う姿勢

リハビリをする状態において、
「やる気」「意欲」という事も重要そうには思えますが、
実際のところはリハビリの改善効果は意欲の有無に関わらないというような報告もあります。

つまり、やる気はなくてもしっかり理解しながらリハビリできれば効果は高まる可能性があるということです。

そのため、理解しようという姿勢は必要です。

もっと言うならば、主体的にリハビリに参加してもらうことが重要です。

”やらされている”
”いわれるがまま”
では、理解せずにしていることと同じです。

”やる気に満ち溢れて”
”意欲高く!”
でなくとも良いので、
リハビリに興味をもって、理解し、一緒に取り組む姿勢がリハビリ効果を高めると考えます。

それでも効果がでない場合

ここまで、効果が出ない原因とその対処方法についてご説明してきました。

これらを踏まえても、
どれだけやってもなかなか効果が出ない…!
ということは残念ながらあります。

それらがどのような状況なのかを理解することも、次の改善に繋げることができる大切なポイントです。

以下に、よくある効果が出ない状況について解説します。

神経再生には時間がかかるだけでなく…

脳卒中や脊髄損傷等の神経にダメージを負っている場合。

この場合は単純に筋力をつけるといったリハビリをするのではなく、一度脳からの神経信号が滞ってしまっているものを再び動けるようにする神経再生という工程があります脳卒中の場合” title=””>(本コラム第2章参照)

この工程にはとても時間がかかるだけでなく、

  • リハビリを受ける人が理解し運動する努力をする
  • 適切な部位にできるだけ多くの刺激を何度も何度も繰り返し入れる

これらの条件が揃わなければ効果的なリハビリがおこなえているとは言えないでしょう。

リハビリの方法、プランニングは合っているか?

上記のリハビリを実際に続けていったとして、実際にどれくらい続けると効果が出るというのは、
個人差もあり明言しにくいですが、同じ内容のリハビリを2週間~4週間程度続けてみて、
何らかの変化があれば続けていく価値はあるのかと思います。

どのような変化が出ているのかは自分自身では気付きにくいと思うので、セラピストからのフィードバックをもらいましょう。

もし、あまり期待していたような変化がなければ、リハビリ方法を再検討しプランを練り直す必要があるかもしれません。

きっとあなたにとって効果的なリハビリ方法はあるはずです。

諦めずにチャレンジする気持ちを持ち続けましょう。

【まとめ】主体的にリハビリ参加しよう

今回はなぜリハビリは効果がないと感じるのか、その原因と対処法についてご説明しました。

効果を高めるポイントはリハビリを受ける人も
しっかり理解しながら主体的にリハビリをおこなうことが大切であるという事をお伝えしました。

また、リハビリは継続してこそ効果を高めます。
途中でやめてしまわない、諦めない気持ちを持つことで新たな可能性を生み出し、
きっとあなたの望んだ姿に近づけるはずです。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手