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リハビリとは、どういうもの?その目的は?

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『リハビリ』とは、”リハビリテーション”の略です。

歴史的にみると、

一度失われた名誉や社会的地位の復権を指す言葉

として用いられてきました。

近代に入り、
第二次世界大戦で傷ついた兵士の身体機能の回復・社会復帰のための療法
として医療的な意味合いが強まりました。

そして現在では、
以下のような意味合いの言葉として用いられています。

 Ⅰ. 『(様々な疾患・外傷により)元々あった状態から変化した身体状況を、できる限り、元の状態に戻すこと』
 Ⅱ. 『(戻るのが難しいようなら)各々の生活状況や環境条件を新たに整え、そこに適応できるように、身体状況を調整していくこと』

このⅠ. とⅡ. のような言葉で表される『リハビリ』の目的とは、何でしょうか。

次の章で、ご紹介したいと思います。

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リハビリの『目的』とは?

みなさんは、日常生活の中で、病気になったりケガをしたりしたとき、どうしますか?

  • ちょっと鼻水が出て寒気がしてきた
  • ちょっとお腹の調子が悪くなってきた
  • 知らぬ間にかすり傷があって少し痛む
     ⇩
    このような軽い症状ならば、安静にしたり市販薬で対応されるかもしれません。
  • 高熱が出て頭がクラクラする
  • 急に胸が締め付けられて息苦しい
  • 事故に遭って立てないし出血がひどい
     ⇩
    このように重くつらい症状となると、病院を受診したり救急に頼ることもあるかもしれません。

何にせよ、何かいつもと違うツラい状態に陥った時、
元々のいつもの状態に戻るために、対策をとられると思います。

この、
『今までの安心していた状態に戻りたい』
という願いが、まさに、
前の章のⅠにつながる、
リハビリの『目的』になります。

但し、大きな疾患や外傷になるほど、
元々のいつもの状態に、完全に戻ることが難しい場合もあります。

かといって、そんなときに悲観的になる必要はありません。

このときは、前の章のⅡのように、
療養・リハビリ後の生活を想定した上で、その状況に適応できる身体に調整していくことが、
リハビリの『目的』となってきます。

その『目的』って、具体的にはどんなこと?

 ここまでご説明してきたリハビリの『目的』ですが、具体的に紹介すると以下のようなものが挙げられます。

 ①基本的な身体機能の回復

  •  関節可動域の改善:硬くなった関節の動きを拡大する
  •  筋力増強:弱くなった筋力発揮を強化する
  •  感覚機能の改善:鈍い感覚や失った感覚の賦活、しびれの軽減
  •  麻痺の状態改善:運動麻痺、感覚麻痺の軽減
  •  バランス能力や持久力等の向上              など

 ②基本的な動作能力の回復

  •  寝返りや起き上がりの動作
  •  立ち座りや乗り移りの動作
  •  姿勢の保持(座位・立位)
  •  歩行や階段の上り下り  など

 ③日常生活動作の回復

  •  食事動作
  •  トイレ動作
  •  更衣や整容の動作
  •  入浴動作     など

 ④応用的な生活動作の回復

  •  調理動作
  •  買い物動作
  •  掃除動作       など

 ⑤社会的な生活動作の回復

  •  職業復帰
  •  地域交流の場への参加  など

⑥健康な状態の維持・予防

  •  運動習慣の実施
  •  健康寿命の拡大    など

このように、非常に多岐にわたることが見ていただいて分かるかと思います。

今までの生活を構成していたもので、今まで通り行えなくなってしまったことを、できる限り復帰させていくこと

これこそがリハビリの『目的』です。

特に、
昨今の高齢化社会においては⑥のように、
前もって健康な状態を出来るだけ長く維持することを『目的』とした、
予防的な観点に基づくリハビリも増えてきています。

少し専門的な話となりましたが、具体的なイメージができたでしょうか。

リハビリは、どこでするもの?病院だけ??

では、そんなリハビリは、実際にはどこで行われているのでしょうか?

おそらく、みなさんが ”リハビリ” と聞くと、
ほとんどの人が「病院」を思い浮かべるのではないかと思います。

現代でも医療的な意味合いが強いため、概ねその考え方は間違っていません。

但し、現在の日本の医療・介護制度下では、疾患によりリハビリできる期間が定められています。

また、病院の形態によっても入院できる期間が限られている場合が多く、
ひとつの病院に入院しながら、長期的にリハビリを受けることは難しい状態です。

リハビリをする流れの一例

当然ながら、疾患や病状の重症度、回復程度によっても変化してきます。

そのため、一例ではありますが、下記のような流れで場所を変えながら、
リハビリを実施していくことが、現在では主流となっています。

  • 急性期病院:発症した疾患・外傷の処置、その療養身体状況が落ち着くまでの、廃用予防や基本的機能の回復
  • 回復期病院:変化した身体機能・能力の回復
  • 介護老人保健施設
  • 在宅復帰(自宅、有料老人ホーム など):入院中に回復できなかった部分の機能回復
    →通院リハビリ、自費リハビリなど
  • 通所系・訪問系リハビリサービス

なお、今回はあくまで医療保険・介護保険下でのリハビリをイメージして紹介しましたが、
介護保険などの保険制度を使用せずに自費でリハビリを行うケースもあります。

『元の状態に戻りたい』

という想いに応える選択肢は様々に増えてきています。

【まとめ】多様化する世の中でも本質的には変わらない

リハビリとは、元々は名誉や社会的地位の復権、という意味合いがあったように、

『その人がその人らしく、自信をもって生活できる状態をつくりあげること』

…が目的である、と考えられます。

昨今、多様性が認められる社会へと変化してきています。

その中で、リハビリも様々な形態があり、手法も様々ですが、本質的な目的は大きくは変わりません。

この記事が、読まれている方の何かの役に立っていれば幸いです。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手