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自宅で行う脳梗塞に対するリハビリに関して、お困りではないですか??

コラム

今回は「リハビリ 脳梗塞 自宅」というテーマにて、コラムを書いてみたいと思います。

表題にも書きましたが、ここにたどり着いた方は、

・自宅で脳梗塞に対するリハビリをするには、どうしたらいいのだろう。

・自宅でもできるリハビリって、どんなことがあるのだろう。。

・退院した時や通院先で教えてもらった自主トレをしていたら治るのかな。。。

・教えてもらったことはしているし、自分でも頑張っているけど、成果が出ない。。。

……等々、お悩みの方が多いのではないでしょうか。

そんな方々の、自宅での脳梗塞に対するリハビリの考え方の、手助けになることができれば幸いです。

よければ、読み進めていただいて、参考になさってみてください。

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自宅で行う、脳梗塞に対するリハビリって、実は、、、

早速、本題に入りますが、しょっぱなから、ぶっちゃけて話します。

自宅で行う脳梗塞に対するリハビリって、実は、、、

「これをやっておけばOK!」「脳梗塞のリハビリといえばこれ!」みたいな、

王道的な、誰もが紹介するような方法は、ありません。

……のっけから全否定の内容で、申し訳ございません。。。

ただ、このコラムを読んでくださっている方は、何となくそれは知って、わかってらっしゃるのではないでしょうか。だからこそ、いろいろ検索したり調べたりして、情報を集めようとされているのでは、と推測します。

……私は理学療法士ですので、「こんなことをしているよ」「こういうことを自主トレとして伝えることが多いよ」といった一例をご紹介することは簡単です。但し、その方法は、このコラムを読んでくださっている方には、ほぼ100%効果的ではない方法かと思います。

……では、どうしたらよいのか。

そこで、完全な私見にはなりますが、自宅で脳梗塞に対するリハビリを行ううえで、私が一理学療法士としてどう考えているのか。その考え方の一端をご紹介できれば、と思います。

少しは役立てるのではないかな、と考えていますので、もう少し読み進めてみてください。

リハビリを考えるうえで、大切なこと

私は、リハビリを考えるうえで、大切なことは、『何を目的とするのか』という観点だと考えています。

もう少し分かりやすくお話しすると、「そのリハビリをすることで、どの機能・どの組織・どの能力・どの動作を回復させたいと考えているのか」を明確にして、そこに的確にアプローチしていく必要性がある、ということです。

さらに分かりやすくイメージするために、簡単に一例を挙げて説明します。

例えば、転倒してしまい大腿骨頸部骨折を受傷してしまった方で、人工骨頭置換術を施行されたとします。
一般的には、後方侵入だと中殿筋等が手術時に侵害されます。その手術後のリハビリでは、もちろん状態確認は行いますが、

 元の生活に戻れるように、自身のみで歩けるようになる

  ↓

 立位バランスを保つために、侵害された中殿筋の機能回復が必要

  ↓

 中殿筋を鍛えるような運動を行う

…と、逆算思考で捉えて、最終的に叶えたい目的・目標を叶えるために、現状課題となっていることは何なのか、それを克服するためにはどうアプローチすべきなのか、を考えていきます。

上記のように、ターゲットが「侵害された中殿筋」というところまで絞り込めると、比較的分かりやすいかもしれません。
もちろん、中殿筋を鍛える方法だけでも様々な方法があり、個々の状況や対象者に対して効果的な方法を選択するには知識や経験が必要ですが、それでも単純化しやすいように感じます。

ここでお伝えしている内容は、脳梗塞に対するリハビリだけでなく、様々な疾患や症状に対するリハビリに言えることだと、私は考えています。

「自宅で行う、脳梗塞に対するリハビリの難しさ」

さて、少し脱線しました話題を、元に戻します。

自宅で行う脳梗塞に対するリハビリを、どう考えていったらよいのか。

……察しの良い方なら、今回のコラムの流れで、私の言いたいことが何となく分かってこられているかもしれませんね。

そうです。

脳梗塞に対するリハビリでは、アプローチすべきターゲットの絞り込みが非常に難しいので、自宅で行うリハビリも、何をすればよいのか分かりにくくなるのです。

言い換えると、アプローチすべき部分が多岐にわたっており、またそれらが相互的に複雑に絡んでいるので、絞り込みがしにくい、とも言えます。

脳梗塞を発症すると、運動機能、感覚機能、高次脳機能など、様々な機能に影響が及びます。

また、脳の局在によっても侵される機能が異なりますし、その程度によっても回復過程は変わります。

仮に、全く同じ部位に全く同じ程度の脳梗塞を発症した人が居るとしても、その2人はおそらく、全く同じ症状をきたすことはないでしょうし、回復程度にも差が生まれてくるでしょう。

当然、リハビリの内容も変わってくることになります。

加えて、この“自宅で行う”リハビリを考えるときに、「正確に、狙った動作を行いにくいことが多く、効果的なリハビリの実施が難しい」ということも、実施の難しさを助長しています。

例えば、麻痺側の下肢筋力を鍛えるために、立位でのスクワットを提案されたとします。

その際、脳梗塞特有の麻痺側下肢の運動パターンが出現すると、一部の筋肉の緊張が高まってしまうかもしれません。

また、それを繰り返している内に徐々に、膝関節の屈伸方向が歪んでくる可能性があります。

さらには、代償動作(本来の動きを別の動きを入れることで補う動作)が入ってしまって、狙った筋肉の賦活が行えていないかもしれません。

そもそも、麻痺側下肢にしっかり荷重が載せられていない状態かもしれません。

…このように、脳梗塞が様々な機能に影響を及ぼすために、ひとつの動作においても様々にチェックすべき観点が多くなり、自宅で行うリハビリが複雑になり難しくなるわけです。

しかも、あまり効果的でない方法をずっと続けていると、その動作を身体が覚えてしまって、却って目指している目標の達成を阻害してしまうことだって考えられるのです。

自宅で行う脳梗塞に対するリハビリを考えるうえで、大切なこと

では、脳梗塞に対するリハビリを、自宅で行うのは無理なのでしょうか?

いえいえ!もちろん、そんなことはないです。

自宅でも、脳梗塞に対するリハビリを行うことは可能ですし、また、することでより良い反応や成果も得られますから、しないよりもする方が絶対に良いです。

ここまで、このコラムで述べてきたことを簡潔にまとめると、以下のようになります。

・「これさえやっておけば」という、みんなに効果的な方法は無い

・目的を明確にして、アプローチしていく

・脳梗塞では、アプローチしていく方法をはっきり絞り込みにくい

・自身だけでは、正確に狙ったことを実施しにくい

…つまりは、これらのことを踏まえて、自宅での脳梗塞に対するリハビリを考えていけばいいのです。

その方法は、ズバリ、これです!

『専門職に提案してもらったことを、的確に実施する』

それだけではなくて、こちらも絶対に行ってください。それは、、、

『専門職とコミュニケーションをとる、詳しく分かるまで話し合う』

…ということです。

おそらく、脳梗塞に対するリハビリを自宅で行う状況を考えた時に、大抵の方は通院されていたり、訪問リハビリを受けていたり、施設入所されていたりしていると思います。
定期的にリハビリ職に会う機会があると思いますので、その普段から自身の身体を診てくれている専門職に、自宅でリハビリをするにはどういったメニューを行えばよいのか、教えてもらいましょう。
それが一番の解決策だと、私は思います。

そして、その時に忘れてほしくないのが、単純に教えてもらったことをただ実施するのではなくて、「どんな目的で」「どういったことに注意しながら」「どの程度行うと効果的なのか」等をしっかり確認していただきたいのです。

……残念ながら正直なところ、いまだに、セラピストと行う時間だけ集中してリハビリしたり、教えられたことだけをただこなしたりしていれば治る、という受け身的な認識でおられる方も多数いるなぁ、というのが私の認識です。

軽い外傷程度ならそうかもしれませんが、大きな外傷や、脳梗塞のような感覚や高次脳機能等に関わってくる疾患の場合は特に、そんなことはありません。如何に、リハビリの時間とは別に、自身で行うリハビリを行えるか、いかに主体的にリハビリできるかどうかにかかっている、と言っても過言ではないと、私は感じています。

加えて、私たち専門職は、より高い効果を短期間で発揮できるように、ひとつの動作で様々な効果に波及させることを常に考えています。

例えば、前述の立位でのスクワットひとつ考えても、荷重の載せるポイントや運動方向、その回数や休憩の頻度等を調整することで、麻痺のパターンを緩和したり、適切な筋肉の運動賦活をすすめたり、筋緊張のコントロールを図ったり、立位バランスを鍛えたり、感覚機能を賦活したりと、複数の効果を同時進行で得られるように考えてリハビリを提案していきます。

もちろん、全てを理解することは難しいとは思いますが、「何の目的でこれを行っているのか」を少しでも理解していると、それに従って運動を行おうと感覚が働きますし、それがまた感覚の賦活として良い影響に波及します。また、どこが、どう良くなったのか自分自身で分かると、モチベーションの向上にもつながりますし、回復の兆しが見えてくると、楽しさも出てくるかもしれません。

さらに、これはより私の完全な私見となりますが、脳梗塞のリハビリでは、運動機能よりも感覚機能の賦活が、治療していく上でより鍵となっている症例が多いように感じています。

そうなった場合、感覚機能はその当事者にしか分からない尺度であることが多く、相互的にコミュニケーションしないと正確な状態が分かりません。確認しながら、二人三脚でリハビリを行っていくことが、本当に重要であり、治療を効果的に進める早道だと私は考えています。

まとめ

今回のコラムも、ここまで読んでくださりありがとうございます。

今回も、このコラムから何か参考になることが得られましたでしょうか。

度々このコラムに出てくる私の母ですが、この私の母も、自宅で行うリハビリには難渋しています。

私は専門職の目線でアドバイスしつつも、母がなかなか理解できないこと、感覚としてわからないことは、ざらにあります。その度に、家族として、一患者として衝突しながらも、コミュニケーションをとって相互理解を深めつつ、その時々の状況に合わせたリハビリを提供・指導しています。

今回のコラムでは、具体的な内容等のご紹介は少なめになってしまいましたので、また別の機会のテーマにて、その辺りのやり取りや、実際にしていることのご紹介ができると、また楽しいコラムになるかもしれませんね。

そのときはまた、このコラムを読んでいただけるとうれしく思います。

このコラムを読んでくださった方が、少しでも良い方向に前進できていますように。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手