コラム COLUMN
膝のリハビリでやるべきこと、やってはいけないことまとめ
膝のリハビリをしていて「なるべく早く復帰したい」「元の生活に戻りたい」などの想いを持たれる方は多いと思います。
よかれと思ってやっていたことが実は悪影響であった、リハビリ期間に実施していると実は良いことなど、現役の理学療法士が解説します。
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膝のリハビリが必要な疾患
膝はスポーツ時はもちろん、日常生活でも負担がかかりやすい部位です。
以下のような疾患がある場合は、医師や理学療法士の指示を聞いてリハビリに取り組みましょう。
- 変形性膝関節症
- 前十字靭帯損傷
- 半月板損傷
- オスグッド・シュラッター病
- その他
変形性膝関節症
変形性膝関節症は、膝に痛みが出ること、水がたまることが主な症状です。
膝の骨と骨の間にある軟骨がすり減ってしまうことが原因で、軟骨の老化・膝靭帯損傷・半月板損傷・膝の骨折・肥満・遺伝などが引き起こす要因です。
前十字靭帯損傷
前十字靭帯の損傷は、その名の通り膝の前側にある靭帯の一部・または全部を切ってしまうことを指します。
急な方向転換や、急停止、高いところからの着地などで痛めてしまうことがあります。
前十字靭帯は通っている血流が少なく、自然治癒の可能性はほぼありません。
そのため靭帯が切れたままの状態になるため、手術をすることで競技への復帰に臨むケースが多くなります。
半月板損傷
半月板損傷は、その名の通り膝関節内にある半月板と呼ばれる繊維軟骨に亀裂が走ったり、欠けたりすることを指します。
太ももの大腿骨と、脛の脛骨の間に存在し、膝のクッションの役割を持っています。
スポーツの時にひねったり、衝撃が加わったりすることで損傷しますが、加齢によって半月板が傷つきやすくなることから高齢者は特段スポーツをしていなくても損傷する場合があります。
オスグッド・シュラッター病
10歳から15歳の発育期のこどもに起きやすい疾患です。
成長期の不安定な状態で膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、脛骨粗面部(けいこつそめんぶ)と呼ばれる靭帯がくっついている箇所に負担がかかり、軟骨の一部がはがれるなどして炎症を引き起こします。
悪化すると脛骨粗面部が隆起し、膝の下に膨らみを帯びるようになります。
変形性膝関節症のリハビリ
変形性膝関節症のリハビリは、薬物療法、装具療法、生活指導、運動療法、手術療法などがおこなわれます。
今回の本記事では、主に自分自身でできる3つのアプローチを実施します。
それは「可動域を広げる」「筋肉をつける」「体重を減らす」です。
それぞれ詳細に説明しますので、理解を深めてみてください。
可動域を広げる
変形性膝関節症になると、靭帯や関節包(かんせつほう)と呼ばれる膜が固くなります。
そうすると膝の曲げ伸ばしの可動域がどんどん狭くなってしまうと、立ったり歩いたりも困難になります。
リハビリの目的は、日常生活や競技できる状態に戻すことになりますので可動域を広げる運動が重要です。
可動域を拡げる運動①
- 膝を伸ばした状態で、足の下にタオルを敷いておく
- かかとをタオルにつけた状態で、ゆっくり体側へタオルと一緒に足を滑らせる
- 足を体側に寄せたら、今度はゆっくりタオルを滑らせながら膝を伸ばしていく
- 10回を一セットとして、両脚をそれぞれ3セット実施しましょう
可動域を拡げる運動②
- 湯ぶねを熱すぎない温度でお湯で満たし体を浸ける
- 座った状態で脚を伸ばす
- かかとをゆっくり滑らせながら、膝を体に寄せる
- また脚をゆっくりかかとを滑らせながら伸ばす
- 10回を一セットとして、両脚をそれぞれ3セット実施しましょう
可動域を拡げる運動③
- あおむけになり、両脚を伸ばします
- 片脚の太ももの裏を両手で抱え、膝を胸の方へ引き寄せます。引き寄せる際には、手の力は使わずなるべく脚の力を使って引き寄せるようにします
- ゆっくり膝を伸ばします
- 10回を一セットとして、両脚をそれぞれ3セット実施しましょう
トレーニングで筋肉をつける
膝関節の負担を減らすためには、膝や股関節周辺の筋肉を鍛えることが重要です。
具体的には、太ももの前側の大腿四頭筋や、後ろ側のハムストリングを鍛えると良いでしょう。
膝関節を安定させる筋力トレーニング①
- 床に座った状態で脚を伸ばし、膝の下に丸めたタオルなどを差し込む
- 太ももの前側である大腿四頭筋に力を入れながら、タオルをぐっと押し込む
- 押し込んだ状態で5秒程度、キープする
- 10回を一セットとし、両脚で3セット実施する
膝関節を安定させる筋力トレーニング②
- 仰向けに寝転がり両膝を立てる状態にする
- 太ももとおしりの付け根に力を入れるイメージで、おしりを持ち上げる
- 太ももを持ち上げる際には、つま先を内側に向け脚をハの字にする
- おしりを元に戻す
- 10回を1セットとし3セット程度実施する
※片足ずつおこなうことで、強度を高めることができます
膝関節を安定させる筋力トレーニング③
有酸素運動として30分程度のウォーキングも有効です。
体重を減らすことにも繋がりますので、無理なく歩きましょう。
膝の負担を減らすためには、水中ウォーキングも推奨されています。
体重を減らす
体重を減らすことで膝の関節にかかる負担を大きく減らすことができます。
膝には体重の3倍の重さが負担としてかかっていると言われ、体重が5kg増えれば15㎏の負担がかかります。
消費カロリーを増やす
消費カロリーを増やす方法は主に2つです。
1つは基礎代謝を高めること、もう1つは運動を実施することです。
基礎代謝を高めるためには、筋肉を増やす必要があります。
前述したトレ―ニングを積極的に実施して、特に太ももの筋肉を鍛えましょう。
人間の中で一番大きい筋肉は、大腿四頭筋という太ももの前側の筋肉であり、運動効率も高く基礎代謝を高めるのに最も適しています。
それらのトレーニングを実施することで、運動による消費カロリーが生まれ体重減少に繋がります。
摂取カロリーを減らす
標準よりも体重が重い場合、摂取カロリーも抑えてみることを検討しましょう。
標準体重は、こちらのサイトに計算方法が載っているため良ければご確認ください。
ただし、摂取カロリーを下げすぎたりタンパク質などをしっかり摂取していないと、大切な筋肉が落ちてしまいます。
特に膝を支える筋肉が減ってしまうのは、膝の負担を増やすことにもつながります。
栄養バランスを考えながら、摂取カロリーを計算しながら無理のないように体重を落としていきましょう。
前十字靭帯断裂の際のリハビリ
前十字靭帯断裂後に再建手術を実施した場合のリハビリについて解説します。
前十字靭帯の術後リハビリの場合は、再建靭帯をしっかり保護しながら無理なくトレーニングしていくことが重要です。
手術後すぐのリハビリ
手術して3週間ほどで入院が終わり、通院しながらリハビリを実施していきます。
入院中のリハビリについては、膝の曲げ伸ばしがない状態での力を入れるトレーニング、膝を徐々に曲げていくトレーニング、膝をまげての筋力トレーニングと進んでいきます。
個人ごとに回復速度は異なりますので担当の医師や理学療法士の指示にしたがって進めていきます。
術後三週間経過した場合、痛めている膝には松葉杖をつきながら2/3程度の体重をかけるようにしていきます。
1か月程度経ってのリハビリ
松葉杖を外して全荷重での歩行が可能です。
またスクワットやランジ、筋力トレーニングやエルゴメーターでのトレーニングを実施し、筋力や体力の回復に努めます。
しかし、体は動くようになってきてはいるものの再建靭帯の強度は高くないため、油断して再度断裂してしまわないように注意しましょう。
再断裂率は10%程度と言われていますので、充分注意してリハビリを実施しましょう。
3か月以降のリハビリ
再建靭帯の強度が高まってくるタイミングで、トレーニングの強度を高めていきます。
また競技復帰に向けたトレーニングも実施可能になってきます。
術後、半年程ではジャンプや切り返しなどの動作も可能になってきますが、靭帯を断裂した記憶がパフォーマンスを低下させることがあります。
体とともに精神面でも回復できるように取り組んでいく必要があるでしょう。
まとめ
今回は、膝のリハビリについてよく検索される「変形性膝関節症」と「前十字靭帯断裂」におけるリハビリについて執筆いたしました。
膝は歩行時にも重要な役割を果たす大事な関節です。
長期的に後遺症を残さないようにするためにも、適切な管理のもとリハビリを実施していきましょう。