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「言葉が出ない」のはなぜ?脳卒中発症後の言語障害と家族の関わり方 

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はじめに

脳卒中発症後に、「言いたいのに言葉が出ない」「言葉は出るけれど、うまく伝わらない」「ろれつが回らない」といった困りごとが生じることがあります。

これは、脳の中で言葉を扱う働きや、声を出すための体の動きに変化が起きているためです。

言葉の困りごとは、本人にとって「伝えたいのに伝えられない」というもどかしさを生みます。

同時に、家族も「どう声をかければよいのか」「どう待てばよいのか」に戸惑うことがあります。

この記事では、脳卒中発症後の言語障害が起こる仕組み、主な種類と症状、本人・家族が毎日の生活で取り組める工夫を解説します。

セルフチェック

脳卒中発症後の言葉の困りごとは、本人が気づきにくいこともあれば、家族が先に気づくこともあります。

次のような様子がないか、ご家族が日頃の様子を思い出しながら確認してみてください。

✅ 言いたい言葉がすぐに出ない。
✅ 言葉は出るけれど、言い間違いが多い。
✅ 相手の言葉は聞こえるのに、意味がわかりにくい。
✅ ろれつが回らない、はっきり発音できない。
✅ 会話が続かず、本人が疲れてしまう。

複数当てはまる場合は、言語障害の可能性があります。

ただし、これらは言語障害だけでなく、注意の問題や飲み込みの問題でも起こることがあります。

また、突然言葉が出なくなったり、ろれつが回らなくなったりした場合は、脳卒中の再発の可能性があります。

その場合は、すぐに119番通報または救急受診をしてください。

自己判断せず、医療機関や専門職に相談することが大切です。

脳卒中後の言葉の困りごとや、ご家族の関わり方について、もっと知りたい方は、ナッセボディワークス公式LINEからご相談ください。

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脳卒中発症後の言語障害とは

脳卒中発症後の言語障害は、大きく分けると2つの種類があります。

一つは失語症で、脳の中で言葉を理解したり、言葉にしたりする働きに変化が起きることで起こります。

もう一つは構音障害で、唇・舌・のど・呼吸など、声を出すための体の動きに変化が起きることで起こります。

つまり、同じ「言葉が出ない」でも、原因は異なります。

  • 失語症:言葉そのものを扱う脳の働きに変化がある。
  • 構音障害:声を出すための体の動きに変化がある。

この違いを知ることで、本人も家族も、自分たちの困りごとを整理しやすくなります。

言語障害の分類と症状

脳卒中発症後の言葉の困りごとには、さまざまな種類があります。

ここでは、とくに多くみられる「失語症」と「構音障害」について、それぞれの特徴と症状を紹介します。

失語症

失語症は、脳卒中発症後によくみられる言葉の障害です。

失語症では、「話す」「聞く」「読む」「書く」など、言葉に関わる働きに変化が起こります。

ブローカ失語(運動性失語)

言葉の意味は理解でき、伝えたいことも頭にあるのに、それを言葉にするのが難しいタイプです。

たとえば、「水が飲みたい」と思っていても、「あの…水…飲み…」のように、言葉が出てこなかったり、たどたどしくなったりします。

本人は「言いたいのに出ない」というもどかしさを感じやすいです。

そのため、家族が先に答えてしまうと、本人が話す機会が減ってしまうこともあります。

ウェルニッケ失語(感覚性失語)

言葉を話すこと自体はスムーズですが、相手の言葉を理解することが難しくなります。

たとえば、ご本人は流暢に話しているつもりでも、言い間違いが多かったり、意味が通らない言葉が続いたりすることがあります。

また、ご本人は自分の言葉に違和感を持ちにくいことがあります。

そのため、家族が「何を言っているのかわからない」と感じても、ご本人は「ちゃんと話せている」と思っていることもあります。

全失語

「話す」「聞く」「読む」「書く」など、言葉に関わる働きが広く影響を受けるタイプです。

言葉でのやり取りが難しく、身振りや絵、写真などを使って伝えることが大切になります。

失名詞失語(健忘失語)

物の名前が出てこないタイプです。

「あれ」「これ」と言いながら、名前が出ないことがあります。

言葉は流暢に出るけれど、名前を思い出すのに時間がかかることがあります。

構音障害

構音障害は、唇・舌・のど・呼吸など、声を出すための体の動きに変化が起きることで起こります。

主な症状は、次のとおりです。

  • 声が出にくい。
  • はっきり発音できない。
  • 特定の音が出しにくい。
  • 舌がもつれる、ろれつが回らない。

構音障害だけの場合は、言葉の意味はわかっていても、発音がうまくいかないことがあります。

本人・家族が取り組める工夫例5選

① 会話のときの工夫

言葉が出にくいときは、家族が先に答えてしまいがちです。

しかし、本人が言葉を選ぶ時間を確保することも大切です。

少しだけ待つことで、本人が言葉を出しやすくなることがあります。

また、「はい」「いいえ」で答えられる質問を用意すると、会話が続けやすくなります。

② 話しかけるときの工夫

話しかけるときは、ゆっくりと、わかりやすい言葉で話すことが大切です。

また、一度に多くのことを話さず、短い文で区切って話すと、本人が理解しやすくなります。

③ 言葉が出ないときの工夫

言葉が出ないときは、焦らず待つことが大切です。

また、身振り、絵、写真、文字などを使うと、言葉以外の方法で伝えやすくなります。

④ 会話が続かなくなったときの工夫

会話が続かなくなったときは、話題を変えたり、休憩を入れたりするとよいです。

無理に続けようとすると、本人が疲れてしまい、次の会話も難しくなることがあります。

また、「今日はここまでにしよう」と、あらかじめ終わりの目安を決めておくと、本人も安心して話せます。

⑤ 言い間違いが多いときの工夫

言い間違いが多いときは、訂正を急がず、本人が言おうとしている内容を確認することが大切です。

「それ、〇〇のこと?」と、選択肢を示して確認すると、本人が伝えやすくなります。

また、間違いを指摘するよりも、「伝わったよ」と一度受け止めてから、必要に応じて正しい言葉を示すと、本人が安心して話せます。

最新の知見から考えられる工夫

脳卒中発症後の言葉の困りごとに対しては、本人だけでなく、家族も一緒に取り組むことが大切だとされています。

最近の欧州脳卒中機構(ESO)のガイドラインでは、失語症のある方に対して、週に少なくとも4回、1回あたり45分以上、入院中に合計20時間以上の言語療法を行うことが最低ラインとして提案されています。

また、退院後も在宅などで継続して取り組む場合は、月に12〜20時間程度が目安となります。

また、家族や周囲の人が「どう声をかければよいか」「どう待てばよいか」を学ぶことも、大切な取り組みとされています。

さらに、言葉だけで伝えるのが難しいときは、「身振り」「絵」「写真」「文字」「専用の道具」などを使うことも有効とされています。

日常に取り入れる提案

毎日の生活に取り入れるなら、次のような工夫が考えられます。

  • 会話の前に、テレビやラジオを消して、静かな環境をつくる。
  • 正面に座って、本人の口元を見ながら話を聞く。
  • 一度に多くのことを話さず、短い文で区切って話す。
  • 「はい」「いいえ」で答えられる質問を用意する。
  • できたときは、その都度、短く褒める。

これらの工夫は、本人が安心して話せる環境をつくるために役立ちます。

ボディワークスでできること

ナッセボディワークスでは、脳卒中発症後の言語障害のある方に対して、次のような支援を行うことができます。

まず、食事・会話・移動・外出など、実際の生活場面でどのような困りごとが起こるかを確認します。

たとえば、「言いたいのに言葉が出ない」「ろれつが回らない」「相手の言葉が理解しにくい」「会話が続かない」といった様子を、ご本人とご家族の声を聞きながら整理します。

そのうえで、呼吸の使い方、姿勢、口や舌の動き、声の出し方など、言葉を出すための体の使い方を整える取り組みを行います。

また、言葉が出にくいときに、無理なく伝えられる方法を一緒に考えます。

たとえば、身振り、絵、写真、文字、スマートフォンやタブレットなどを使った伝え方の工夫です。

ご本人が「これなら伝えやすい」と感じられる方法を、一緒に見つけていきます。

家族に対しては、「声かけの仕方」「待ち方」「会話の進め方」など、家族が無理なく続けられる方法を一緒に考えます。

たとえば、次のようなことを一緒に確認します。

  • いつ、どのタイミングで声をかけると伝わりやすいか。
  • どのくらい待つと、ご本人が言葉を出しやすいか。
  • どのような質問なら、答えやすいか。
  • どのような場面で、ご本人が疲れやすいか。

ナッセボディワークスでは、これらの知見を踏まえながら、ご本人が安心して伝えられることを第一に、ひとりひとりに合ったアプローチ方法をご提案します。

ご本人の「伝えたい」という気持ち、ご家族の「支えたい」という気持ちを尊重しながら、無理なく続けられる工夫を一緒に見つけていきます。

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まとめ

脳卒中発症後の「言葉が出ない」は、脳の中で言葉を扱う働きや、声を出すための体の動きに変化が起きているために起こることがあります。

言葉の困りごとは、本人にとって「伝えたいのに伝えられない」もどかしさを生みます。

同時に、家族も「どう声をかければよいのか」「どう待てばよいのか」に戸惑うことがあります。

だからこそ、本人と家族が、言葉以外の方法も使って、安心して伝えられる環境をつくることが大切です。

言葉が出ないときこそ、焦らず待つこと、選択肢を減らすこと、別の方法を使うことが、本人の安心につながります。

ご本人やご家族が、今日から少しずつできることを、一緒に見つけていきましょう。

【参考文献】

  • 失語症とリハビリテーション.DINF、2004年.
  • 脳卒中と言葉の障害.日本脳卒中協会、2015年.
  • Guidelines for Adult Stroke Rehabilitation and Recovery.American Heart Association / American Stroke Association、2016年.
  • 失語症分類と診断・評価方法.J-Stage、2023年.
  • 言語障害.健康長寿ネット、2023年.
  • 失語症.独立行政法人国立病院機構 鳥取医療センター、2023年.
  • Clinical Practice Guideline on Stroke Rehabilitation.American Speech-Language-Hearing Association、2023年.
  • Language and Communication.Canadian Stroke Best Practices、2023年.
  • Rehabilitation and recovery – communication and language.National Clinical Guideline for Stroke、2023年.
  • Stroke Rehabilitation in Adults.American Speech-Language-Hearing Association、2023年.
  • 失語症.MSDマニュアル家庭版、2025年.
  • European Stroke Organisation Guideline on Aphasia Rehabilitation.European Stroke Organisation、2025年.

Q&A 

Q1. 失語症と構音障害はどう違いますか?

失語症は、脳の中で言葉を扱う働きに変化が起きることで起こります。

構音障害は、唇・舌・のど・呼吸など、声を出すための体の動きに変化が起きることで起こります。

Q2. 家族ができることは何ですか?

大きく分けると、待つ・選択肢を減らす・別の方法を使うの3つです。

言葉が出るまで少し待ち、「はい」「いいえ」で答えられる質問にしたり、身振りや絵、写真を使ったりすると、会話が続けやすくなります。

Q3. 言葉が出ないとき、どう声をかければよいですか?

「早く言って」と急かすのではなく、少し待つことが大切です。

また、「はい」「いいえ」で答えられる質問にしたり、身振りや絵、写真を使ったりすると、伝えやすくなります。

Q4. いつ専門職に相談すればよいですか?

言葉が出ない、言い間違いが多い、相手の言葉が理解できない、ろれつが回らない、会話が続かない、といった場合は、早めに相談することをおすすめします。

脳卒中発症後の言語障害は、早期から適切な評価と支援を受けることで、生活の質を高めることができます。

「自分や家族の場合はどうなんだろう」
「今やっているリハビリで、この先も大丈夫なのか」
そんな気持ちを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。

ナッセボディワークス兵庫伊丹・宝塚は、
脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷など、
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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手