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パーキンソン病で呼吸と飲み込みが変わる?|前かがみ・腰曲がり・首下がりの影響
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はじめに
パーキンソン病では、病気の進行とともに、呼吸や飲み込みに変化が現れることがあります。
「食事中にむせるようになった」「食後に声が濁る」「以前より息が浅く、疲れやすくなった」
このような変化があっても、ご本人は年齢や体力の低下によるものと考え、パーキンソン病との関係に気づいていないことがあります。
また、呼吸や飲み込みの力が低下していても、必ずしも強い息苦しさやむせが起こるとは限りません。
ご本人に自覚がないまま、食べ物や唾液が気管へ入り込むことがあります。
それが繰り返されると、誤嚥性肺炎につながる場合もあるため、むせがないからといって安心とは限りません。
そのため、呼吸や飲み込みに関する変化は、ご本人の訴えだけでなく、ご家族が日常の様子から気づくことも大切です。
こうした呼吸や飲み込みの変化には、姿勢が関係している場合があります。
前かがみや首下がりなどの姿勢が続くと、胸やお腹が動きにくくなったり、食事中に体を安定させにくくなったりすることがあります。
この記事では、パーキンソン病で起こる呼吸や飲み込みの変化、姿勢との関係、ご本人やご家族が確認したいサイン、日常生活でできる工夫について解説します。
こんな変化はありませんか?
次のような変化がある場合は、呼吸や飲み込みの状態を確認してみましょう。
✅ 食事中や食後にむせる、咳払いが増えた。
✅ 食後に声が濁ったり、湿ったような声になったりする。
✅ 食事に時間がかかるようになった、食べる量が減った。
✅ 以前より体重が減った、原因のはっきりしない発熱を繰り返している。
✅ 会話中に息が続きにくい、歩いた後の疲れが強い、声が小さくなった。
これらの変化は、すべてがパーキンソン病によるものとは限りません。
しかし、いくつかの変化が重なっている場合や、以前より明らかに増えている場合は、早めに主治医や専門職へ相談しましょう。
パーキンソン病の影響で呼吸が変化する理由
呼吸が浅くなることがある
パーキンソン病では、動作がゆっくりになったり、筋肉がこわばったりすることで、呼吸に関わる筋肉や胸郭の動きが小さくなることがあります。
胸郭とは、肺を包む肋骨や胸まわりの骨組みのことです。
呼吸をすると胸郭が広がったり戻ったりし、その動きによって肺に空気が出入りします。
前かがみや背中の硬さがあると胸郭が広がりにくくなり、呼吸が浅くなったり、深く息を吸いにくくなったりする場合があります。
その結果、会話中に息が続きにくい、歩いた後に疲れが残りやすい、痰を出しにくいといった変化につながることがあります。
パーキンソン病の呼吸の変化は、病気が進行してからだけでなく、比較的早い段階からみられることもあります。
呼吸の問題は、肺だけの問題ではなく、姿勢や体幹の動き、呼吸に関わる筋肉の働きなどが複合して起こる場合があります。
姿勢が呼吸に影響する
パーキンソン病では、体をまっすぐに保ちにくくなり、前かがみや腰曲がりが起こりやすくなることがあります。
また、立っているときや座っているときに、体が前や左右へ傾いた状態になる場合もあります。
前かがみや腰曲がりが強くなると、胸やお腹が動く範囲が小さくなることがあります。
また体が前や左右に傾いた状態が続くと、呼吸に必要な体の動きが制限される場合があります。
その結果、深く息を吸いにくくなったり、声が小さくなったり、動いた後に疲れやすくなったりすることがあります。
ただし、呼吸の力が低下していても、ご本人が「息苦しい」と感じるとは限りません。
呼吸が浅くても、長い間その状態に慣れていると、ご本人は普段通りに過ごしていると感じることがあります。
そのため、会話中の息の続き方、声の変化、歩いた後の疲れ方、痰の出しやすさなどを、ご家族が確認することも大切です。
姿勢に関する内容は、過去に投稿したコラムでもご紹介しています。
あわせてご確認いただくとより理解が深まりますので、参考にしてみてください。
【「まっすぐ立っているつもり」が危険信号!?|パーキンソン病のピサ症候群とは】
【パーキンソン病で腰が曲がる?原因と効果的なリハビリ運動を解説】
パーキンソン病の影響で飲み込みが変化する理由
呼吸と飲み込みのタイミングが乱れる
食べ物や飲み物を飲み込むときは、呼吸が一時的に止まり、その後に息を吐くのが一般的です。
この流れによって、食べ物や飲み物が気管へ入りにくくなります。
しかしパーキンソン病では、動作を切り替える力が低下したり、口やのどの動きが小さくなったりすることがあります。
また、唾液や食べ物を飲み込む回数が減ったり、飲み込むまでに時間がかかったりする場合もあります。
その結果、飲み込むときに一時的に呼吸を止め、その後に息を吐くという本来の流れが乱れ、呼吸と飲み込みのタイミングが合いにくくなることがあります。
呼吸と飲み込みの切り替えがうまくいかないと、食べ物や飲み物が気管へ入りやすくなる場合があります。

姿勢が飲み込みに影響する
前かがみ、首下がり、腰曲がりなどの姿勢が続くと、食事中に体を安定させにくくなることがあります。
体が前や左右へ傾いたまま食事をすると、口やのどの動きが不安定になり、飲み込みにくさや誤嚥につながる場合があります。
誤嚥とは、食べ物や飲み物、唾液などが食道ではなく、誤って気管へ入ることです。
誤嚥を繰り返すと、誤嚥性肺炎につながる場合があります。
パーキンソン病では、気管に入っても強くむせないことがあるため、むせがないからといって安心とは限りません。
特に首下がりがあると、首やのどの位置関係が変化し、食べ物を送り込む動きに影響する可能性があります。
一方で、首を大きく後ろへ反らす姿勢も、飲み込みに影響する場合があります。
大切なのは、首だけを無理に動かすことではありません。
食事中に足の裏を床につけ、骨盤や体幹を安定させ、ご本人に合った姿勢で食べることです。
姿勢の変化が強い方ほど、飲み込みにくさを感じる割合が多かったという研究も報告されています。
気づきにくい飲み込みの問題
むせない誤嚥に注意する
パーキンソン病では、食べ物や唾液が気管へ入っても、強くむせないことがあります。
その理由の一つは、のどや気管に異物が入ったことを感じ取る感覚や、それを外へ出す咳の力が低下することがあるためです。
また、飲み込む反応が起こるタイミングが遅れたり、のどの動きが小さくなったりすることで、気管に入ったものを十分に排出できない場合もあります。
このように、食べ物や唾液が気管へ入っているにもかかわらず、強くむせたり咳き込んだりしない状態を、むせない誤嚥(不顕性誤嚥)と呼びます。
ご本人に自覚がないまま、このような誤嚥を繰り返すと、誤嚥性肺炎につながることもあるため、むせがないからといって安心とは限りません。
食後に声が濁る、咳払いが増える、食事に時間がかかる、食事量や体重が減る、原因のはっきりしない発熱を繰り返すといった変化がある場合は、飲み込みの状態を確認しましょう。

ご家族が確認したい変化
次のような変化は、飲み込みの問題に気づくきっかけになります。
- 食後に声が濁り、湿ったような声になる。
- 食後に咳払いや咳が増える。
- 食事に時間がかかる。
- 食事量や体重が減る。
- 痰が増える、呼吸音が変わる。
- 原因のはっきりしない発熱を繰り返す。
本人が気づきにくい変化を、ご家族が見つけることがあります。
特に、食後の声や咳払いの変化は、食事のすぐ後に確認しやすいサインです。
気になる変化がある場合は、主治医や言語聴覚士など、飲み込みを専門とする職種へ相談することをお勧めします。
必要に応じて、飲み込みの検査を行い、食事中の姿勢、食事の形、とろみ、食事環境などを確認します。

姿勢を保つことが呼吸と飲み込みを支える
姿勢を整える目的は、見た目をきれいにすることだけではありません。
体を安定させることは、呼吸をしやすくしたり、安全に食事をしたりするための土台になります。
食事中は、椅子に深く腰掛け、足の裏を床につけると体を安定させやすくなります。
体が左右へ傾く場合は、椅子やクッションなどで体を支える方法が役立つこともあります。
ただし、適した姿勢はご本人の体の状態や飲み込みの特徴によって異なります。
顎を強く引く、食べ物を刻む、食事を柔らかくする、とろみをつけるといった対応は、自己判断で行わないように注意しておきましょう。
飲み込みの状態を確認したうえで、主治医や言語聴覚士などの専門職と相談しながら調整することが大切です。

最新の知見から考える取り組み
最近は、パーキンソン病の呼吸や飲み込みを支える方法として、息を吐く力や咳をする力を保つ取り組みが注目されています。
2026年の研究では、呼吸に使う筋肉を鍛えることで、呼吸を続ける力や運動時の息苦しさが改善したと報告されています。
また、息を吐く力を保つことは、痰や食べ物などが気管に入ったときに、咳で外へ出す力にも関係します。
呼吸と飲み込みは深く関係しているため、呼吸しやすい姿勢を保ち、咳をする力を落とさないことは、食事を安全に続けるうえでも大切です。
ご自宅では、椅子に深く腰掛け、足の裏を床につけて、胸やお腹が動きやすい姿勢を整えます。
その姿勢で、肩に力を入れず、鼻からゆっくり息を吸い、口からゆっくり吐きます。
無理に大きく吸おうとせず、楽に呼吸できる範囲で行うことがポイントです。
会話中に息が続きにくい、声が小さくなった、咳が弱い、痰が出しにくい、食後に声が濁るといった変化がある場合は、普段の様子を記録しておくと、体の変化を把握しやすくなります。
姿勢、呼吸、咳、飲み込みは、それぞれ別の問題ではありません。
体を安定させて呼吸しやすい姿勢を保つことが、呼吸や食事を安全に続けるための支えになります。
ナッセボディワークスでできること
ナッセボディワークスでは、呼吸や飲み込みに関する不安を、姿勢や生活場面と合わせて確認します。
立っているとき、座っているとき、横になっているときの姿勢を確認し、前かがみや首下がりが呼吸や食事中の安定にどのように影響しているかを考えます。
また、胸の動き、会話中に息が続くか、動いた後の疲れ方、食事中の姿勢、食後の声の変化なども確認します。
ご本人が感じている不安だけでなく、ご家族が気づいた変化や、実際の生活で困っている場面も大切にします。
そのうえで、体を起こす練習、胸まわりを動かす練習、呼吸しやすい姿勢づくり、食事中に体を安定させる方法などを、ご本人の状態に合わせて考えます。
飲み込みについて詳しい確認が必要な場合は、主治医や言語聴覚士など、適切な専門職への相談もお勧めします。
呼吸や飲み込みの問題は、ご本人の努力だけで解決できるとは限りません。
ナッセボディワークスでは、姿勢、呼吸、食事、生活環境を一緒に確認し、その方に合った方法を無理なく続けられる形で提案します。
まとめ
パーキンソン病では、呼吸や飲み込みの変化が起こることがあります。
その背景には、呼吸と飲み込みのタイミングの変化、口やのどの動かしにくさ、咳をする力の低下などが関係しています。
さらに、前かがみ、首下がり、腰曲がりなどの姿勢変化が、胸やお腹の動き、食事中の体の安定に影響する場合があります。
呼吸や飲み込みの問題は、息苦しさや強いむせがなくても起こることがあります。
食後の声の変化、咳払い、食事時間、体重、発熱、歩いた後の疲れ方などをご家族も確認しましょう。
姿勢を整えることは、見た目をよくするためだけではありません。
呼吸をしやすくし、安全に食事を続けるための土台にもなります。
気になる変化がある場合は、自己判断で食事内容や姿勢を大きく変えるのではなく、主治医や言語聴覚士などの専門職へ相談しましょう。
参考文献
- 日本神経学会.パーキンソン病診療ガイドライン2018.
- Respiratory-Swallow Coordination in Individuals with Parkinson’s Disease: A Systematic Review and Meta-Analysis.
- Decreased Cough Sensitivity and Aspiration in Parkinson Disease.
- High-intensity respiratory muscle training improves maximal respiratory pressures, breathing endurance, dyspnoea and exercise capacity in people with Parkinson’s disease: a randomised trial.
- Effect of High vs. Low Intensity Expiratory Muscle Strength Training on Swallowing in People with Degenerative Parkinsonism: A Randomized Controlled Trial.
よくある質問
Q. パーキンソン病では、息苦しくなくても呼吸の問題があるのでしょうか?
A. 可能性はあります。呼吸が浅くなったり、胸の動きが小さくなったりしていても、ご本人が強い息苦しさを感じない場合があります。会話中の息の続き方、声の変化、歩いた後の疲れ方なども確認しましょう。
Q. むせていなければ、飲み込みは大丈夫ですか?
A. むせがなくても、飲み込みの問題が隠れている場合があります。食べ物や唾液が気管へ入っても、強くむせないことがあるためです。食後に声が濁る、咳払いが増える、食事量や体重が減る、発熱を繰り返すといった変化がある場合は、主治医へ相談しましょう。
Q. 前かがみや首下がりは、飲み込みに影響しますか?
A. 影響する場合があります。姿勢が崩れると、食事中に体を安定させにくくなり、口やのどの動きが不安定になることがあります。ただし、影響の程度や適した姿勢は一人ひとり異なるため、専門職に確認してもらうことが大切です。
Q. 食事中は、どのような姿勢を意識すればよいですか?
A. 椅子に深く腰掛け、足の裏を床につけて、体を安定させることが基本です。ただし、顎の角度や体の支え方は、飲み込みの状態によって異なります。顎を強く引く、食事を柔らかくする、とろみをつけるといった対応は、自己判断ではなく専門職と相談しながら行いましょう。
Q. 呼吸や飲み込みについて、どのような場合に相談したほうがよいですか?
A. 食後に声が濁る、咳払いが増える、食事に時間がかかる、体重が減る、発熱を繰り返す、会話中に息が続きにくいといった変化がある場合は、相談をおすすめします。急な息苦しさ、胸痛、意識がぼんやりする、発熱を伴う呼吸の悪化がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。
「自分や家族の場合はどうなんだろう」
「今やっているリハビリで、この先も大丈夫なのか」
そんな気持ちを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。
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