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脳卒中発症後に片側だけ食べ残す・ぶつかる…半側空間無視のサインと対策
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はじめに
脳卒中発症後に、「食事の片側を食べ残す」「片側の壁や家具にぶつかる」「靴下を片側だけ履き忘れる」といった様子がみられることがあります。
これは、本人がわざと片側のものを無視しているわけではありません。
見えているのに、片側の情報に気づきにくくなっているために起こることがあります。
この状態を「半側空間無視」といいます。
半側空間無視は、食事、着替え、移動、外出など、生活のさまざまな場面に影響します。 だからこそ、ご本人だけでなく、家族がその特徴を知り、安心して過ごせる環境をつくることが大切です。
この記事では、半側空間無視とは何か、日常生活の場面でどんな困りごとが起こるのか、毎日の工夫、家族の声かけのポイントを解説します。
セルフチェック
半側空間無視は、ご本人が気づきにくいことがあります。
次のような様子がないか、ご家族が日頃の様子を思い出しながら確認してみてください。
✅ 食事のとき、お皿の片側のご飯やおかずを食べ残す。
✅ 靴下、袖、腕時計などを片側だけ忘れる。
✅ 歩くとき、片側の壁、家具、人にぶつかりやすい。
✅ 髭を剃る、化粧をする、髪を整えるときに片側を忘れる。
✅ 声をかけると気づくが、すぐにまた片側を見落とす。
複数当てはまる場合は、半側空間無視の可能性があります。
ただし、これらは半側空間無視だけでなく、視野の問題や注意の問題でも起こることがあります。
自己判断せず、医療機関や専門職に相談することが大切になります。
半側空間無視とは
半側空間無視とは、見えているのに、片側の空間や物に気づきにくくなる状態です。
たとえば、右側の脳に損傷を受けた場合、左側の空間や物に気づきにくくなることがあります。
反対に、左側の脳に損傷を受けた場合は、右側に気づきにくくなることもあります。
大切なのは、「見えていない」のではなく、「見えていても気づきにくい」という点です。
ご本人に「左側にもあるよ」と言っても、すぐには気づかないことがあります。
これは、ご本人の努力不足ではなく、脳の働きの変化によるものです。
半側空間無視は、脳卒中発症後によくみられる症状の一つで、食事、読書、着替えなど、日常の多くの動作に影響することがあります。
また、半側空間無視は、時間の経過とともに改善していくことがあります。
ただし、改善の程度やスピードには個人差があり、すべての方が完全に元どおりになるわけではありません。
そのため、「いつまでに治るのか」と一概に言うことは難しいですが、症状と上手に付き合いながら、安心して生活できる工夫を続けることが大切です。
半側空間無視が生活に与える影響と工夫
ここでは、とくに困りごとが起こりやすい『食事』『着替え・身だしなみ』『歩行・移動』の3つの場面を例に、それぞれで起こりやすい問題と、毎日の生活に取り入れられる工夫を紹介します。
食事で起こる問題と工夫
食事のとき、お皿の片側のご飯やおかずを食べ残すことがあります。
ご本人は「食べたつもり」でも、片側が残っていることがあります。
これは、食事量が少ないのではなく、片側に気づきにくいためです。
お皿をご本人の正面よりも少し無視側と反対の側に置くと、全体を把握しやすくなります。もし無視側を食べ残す場合は、さらに反対側へずらします。
食べ残しがなければ、少しずつ正面に寄せていき、徐々に無視側への注意を促していきます。
また、小鉢を減らしてワンプレートにまとめると、探す範囲が狭まり、食べ残しに気づきやすくなります。
さらに、白い食器に濃い色の敷物を合わせると、お皿の輪郭が見つけやすくなります。
食事の途中で、お皿を少し回してみるのも、残りに気づくきっかけになります。
声をかけるときは、「無視側を見て」と伝えるよりも、「気づきやすい側から無視側へ、順番に見てみよう」と具体的に伝えるとよいでしょう。

着替え・身だしなみで起こる問題と工夫
着替えや身だしなみのとき、靴下、袖、腕時計などを片側だけ忘れることがあります。
また、髭を剃る、化粧をする、髪を整えるときに、片側だけ手が届かない、または確認し忘れることもあります。
着替えの前に、ご本人が左側の手や足を見たり触れたりして位置を確認すると、気づきやすくなります。
さらに、衣服には、模様やタグ、ポケットなど、左右を見分ける目印をつけるとよいです。着る順番を決めて、毎回同じ流れで行うことも、習慣づけに役立ちます。

歩行・移動で起こる問題と工夫
歩くときに、片側の壁、家具、人にぶつかることがあります。
特に廊下の曲がり角、ドア枠、家具の端など、片側に気づきにくい場所では注意が必要です。
また、ベッドや車いすに乗るとき、片側に寄りすぎることがあります。
片側の手すりや支えを見落とすことで、バランスを崩しやすくなることもあります。
歩くときは、無視側と反対の壁に沿って歩くよう促すと、ぶつかりにくくなります。
また、曲がり角や段差には、目立つ色のテープや矢印などの目印をつけるとよいです。
夜間は、足元を照らすライトを設置することも有効です。
さらに、ぶつかりやすい家具や壁には、クッション材を貼ると安全です。
家の中の動線をシンプルにし、片側に危険な物を置かないことも大切となります。

半側空間無視における最新知見から考えられる工夫
半側空間無視への取り組みは、大きく分けると2つの考え方があります。
一つは、意識的に無視側に向ける工夫です。
たとえば、無視側を探す練習、手がかりや声かけによる気づきの誘導、意図的な無視側への探索などがあります。
具体的には、次のような取り組みが考えられます。
- 食事の前に、お皿の上を「右から左へ」順番に見て、何があるかを確認する。
- 着替えの前に、無視側の手や足を見たり触れたりして、位置を確認する。
- 歩くときに、無視側の壁や家具に意識を向けながら進む。
- 新聞や本を読むときに、ページの端に色付きの目印をつけ、そこまで目を動かす練習をする。
もう一つは、感覚や運動から引き出す工夫です。
たとえば、特殊なレンズを使った練習、首や体への刺激、無視側の手足を動かすこと、鏡を使った練習などがあります。
具体的には、次のような取り組みが考えられます。
- 無視側の手で、テーブルの上の物に触れたり、動かしたりする。
- 無視側の足を、意識的に動かす、または体重をかける。
- 鏡を使って、無視側の腕や足の動きを確認する。
- 特殊なレンズを使い、視界をずらしながら、目の前の物を指さす練習をする。
また、脳卒中発症後の認知機能障害に対する研究では、体を動かす取り組みが、半側空間無視の改善とバランスの改善に関連したと報告されています。
つまり、半側空間無視への対応は、「目で見る練習」だけでなく、体を動かすこと、姿勢を整えること、バランスを保つこととも深く関係しているといえます。
自宅でも、安全に過ごせる環境を整えながら、実際に体を動かすことから始めてみると、少しずつ変化が生まれるかもしれません。

ボディワークスでできること
ナッセボディワークスでは、半側空間無視のある方に対して、次のような支援を行うことができます。
まず、食事、着替え、移動、外出など、実際の生活場面でどのような見落としが起こるかを確認します。
そのうえで、姿勢制御、バランス、歩行、移乗動作など、体の使い方を整える取り組みを行います。
また、無視側に気づくための、目と体の動きの練習も行います。
さらに、家の中の動線、家具の配置、照明、目印など、安全に過ごせる環境を提案します。
家族に対しては、声かけの仕方、介助のタイミング、見守りと介助のバランスなど、家族が無理なく続けられる方法を一緒に考えます。
ナッセボディワークスでは、これらの知見を踏まえながら、ご本人が安心して生活できることを第一に、ひとりひとりに合ったアプローチ方法をご提案します。
半側空間無視は、身体失認と似た様子がみられることがあります。
身体失認とは、自分の腕や足を「自分のもの」として感じにくくなる状態です。
それぞれの違いや、生活の中での工夫については、これまで公開した記事もあわせてご確認いただき参考にしてみてください。
【半側空間無視とは?見えているのに気づかない障害とリハビリの考え方 | ナッセボディワークス 】
【身体失認とは何か?原因・半側空間無視との違い・リハビリ対応を解説 | ナッセボディワークス 】
まとめ
半側空間無視は、脳卒中発症後に起こることがある、片側に気づきにくくなる状態です。
ご本人がわざと無視しているわけではありません。
脳の働きの変化によって、片側の情報に気づきにくくなっているのです。
だからこそ、家族が安心して過ごせる環境をつくることが大切です。
食事の置き方、着替えの順番、歩行の工夫、声かけの仕方など、小さな工夫の積み重ねが、ご本人の安心と自立につながります。
そして、このようなアプローチや方法は、ご本人が安心して、自分らしく生活を続けられることにつながります。
半側空間無視は、正しく理解し、適切な工夫を続けることで、生活の質を高めることができる状態です。
ご本人やご家族が、今日から少しずつできることを、見つけていきましょう。
参考文献
- 脳卒中および成人の脳損傷による空間無視・不注意に対する非薬物治療.Cochrane、2021年.
- 半側空間無視のリハビリテーションの課題とこれからの訓練.J-Stage、2021年.
- 半側空間無視に対するリハビリテーション治療とそのエビデンス.Medical Online、2024年.
- 半側空間無視のリハビリテーション ―最近のトピックス―.J-Stage、2018年.
- Rehabilitation of Cognitive Deficits Poststroke: Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials.Stroke、2022年.
- Spatial Neglect.StatPearls、NCBI Bookshelf、2026年.
Q&A
Q1. 半側空間無視は改善しますか?
改善の可能性はありますが、個人差があります。
発症後の数週間から数か月は、脳の回復が期待できる時期とされ、無視側を探す練習や環境調整などを組み合わせた取り組みに一定の効果があると報告されています。
すべての方が完全に元どおりになるわけではありませんが、安心して生活できる工夫を続けることが大切です。
Q2. 家族ができることは何ですか?
大きく分けると、環境を整える・具体的に声をかける・安全を守るの3つです。
物の置き方や目印を工夫し、「右から左へ順番に見てみよう」と具体的に伝えると、行動につながりやすくなります。
Q3. 半側空間無視と視野の問題はどう違いますか?
半側空間無視は、見えていても気づきにくい状態です。
一方、視野の問題は、物理的に見える範囲が狭くなっている状態です。
原因と対応が異なるため、自己判断せず、医療機関や専門職に相談することが大切です。
Q4. いつ専門職に相談すればよいですか?
食事の片側を食べ残す、着替えや身だしなみで片側を忘れる、歩行中に片側にぶつかる、転倒やけがのリスクが心配、といった場合は、早めに相談することをおすすめします。
半側空間無視は、早期から適切な評価と支援を受けることで、生活の質を高めることができます。
「自分や家族の場合はどうなんだろう」
「今やっているリハビリで、この先も大丈夫なのか」
そんな気持ちを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。
ナッセボディワークス兵庫伊丹・宝塚は、
脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷など、
病院でのリハビリを終えた後も
“動きと生活をどうつないでいくか”
を大切にしている自費リハビリ施設です。
一人ひとりの状態を丁寧に確認し、
電気刺激治療機IVES(アイビス)や
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今の生活環境や目標に合わせた関わりを行っています。
「通うかどうか」ではなく、
「今の状態をどう捉えればいいのか」
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