コラム COLUMN
身体失認とは何か?原因・半側空間無視との違い・リハビリ対応を解説
脳卒中後のリハビリをしている中で、
「自分の手なのに思い通りに動かない」
「この腕は自分のものじゃない気がする」
といった訴えを耳にすることがあります。
このような症状の背景にあるのが「身体失認(しんたいしつにん)」です。
自分の体の一部を「自分のもの」として認識できなくなるこの状態は、主に脳卒中後の右半球損傷で起こりやすく、見た目にはわかりにくいながら日常生活やリハビリの進み方に大きく影響します。
この記事では、身体失認の原因・半側空間無視との違い・リハビリでの対応についてわかりやすく解説します。
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身体失認とは?
身体失認とは、「自分の体の一部を自分のものとして認識できない状態」を指します。
たとえば以下のような状態です。
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- 麻痺している手足を「自分のものではない」と感じる
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- 自分の腕なのに「誰かの腕がついている」と表現する
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- 麻痺していること自体を否認する(麻痺があるのに「動く」と言う)
特に脳卒中後、右半球の損傷(左麻痺)で起こりやすいとされています。
身体失認と似ている症状との違い
身体失認は、他の高次脳機能障害と混同されやすい症状です。
半側空間無視との違い
半側空間無視は、「片側の空間に注意が向かない状態」です。
一方、身体失認は「自分の身体そのものの認識の問題」です。
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- 半側空間無視:気づけない
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- 身体失認:存在は感じているが”自分のものではない”
両者は同時に起こることもありますが、対応の仕方が異なるため、評価によって区別することが大切です。
病態失認との違い
病態失認は、「自分に障害があることを認識できない状態」です。
身体失認と重なることも多く、例えば「この手は動くはずだ」「麻痺なんてない」といった発言につながります。
これも本人がそう望んで言っているのではなく、脳にダメージを受けたために生じている症状のひとつです。
なぜ身体失認が起こるのか?
身体失認は、主に脳の「頭頂葉」や「右半球」の損傷によって起こると考えられています。
私たちは普段、以下のような情報を統合して「自分の体」を認識しています。
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- 視覚(見えている体)
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- 体性感覚(触れている感覚、関節が曲がっている感覚など)
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- 運動感覚(動かした感覚)
これらの情報がうまく統合されることで、意識せずとも「これは自分の体だ」と認識できています。
しかし、脳卒中によってこの統合が崩れると、「自分の体なのに自分のものと感じられない」という状態が生じます。
身体失認が日常生活に与える影響
身体失認は、見た目ではわかりにくい一方で、生活には大きな影響を与えます。
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- 麻痺側の手足を使おうとしない、忘れてしまっている
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- 危険な動作(無理に立とうとするなど)につながる
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- リハビリへの意欲低下
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- 転倒リスクの増加
特に重要なのは、「本人にとっては本当にそう感じている」という点です。
腕や脚の存在を忘れていながら動いてしまうことなど、現場では良くある症状ですが、初めて見る人は「なぜ忘れてしまうのか?」と不思議に思うかもしれません。
周囲が「それはあなたの手ですよ」と説明しても、納得できなかったり、何度言っても理解できないケースが多く、対応には工夫が必要です。
そういった周囲の反応と本人での感じ方に乖離があることで、精神的な負担にもつながるためにより丁寧なサポートが必要となります。
リハビリでの関わり方のポイント
身体失認に対するリハビリでは、「無理に理解させる」ことよりも、「体の感覚を取り戻す」ことが重要です。
①視覚と体の一致を促す
鏡を使ったトレーニングや、実際に動いている様子をビデオで確認することで、「見えている体」と「感じている体」を一致させていきます。
②触覚・固有感覚へのアプローチ
麻痺側に対して「触れる」「重さを感じる」「関節を動かす」といった刺激を入れることで、「体の存在」を再認識しやすくなります。
最初は目で見て確認していき、徐々に視覚情報を取り除いた環境下でもトレーニングしていくことも有効です。
③成功体験を積み重ねる
「動いた」「使えた」という経験を積み重ねることで、徐々に身体への認識が変化していきます。
ナッセボディワークス兵庫伊丹・宝塚ではIVESという電気刺激装置を活用したリハビリで、麻痺して動きにくくなった筋肉に対して、電気刺激によって動きを作り出すサポートをするアプローチを継続的に行います。
これにより、麻痺した筋肉自体の動きを作りやすくしていくことで、成功体験へとつなげていきます。
④否定せず受け止める
「それは違う」と否定するのではなく、「そう感じるんですね」と一度受け止めることが大切です。
その上で、体験を通じて少しずつ認識を変えていくことがポイントになります。
動画などを撮影し、自分のイメージした動きと実際の動きの違いを確認してもらうことも有効です。
ただし、そこに大きな乖離が生じる場合には、精神的な負担になる可能性があるため、配慮が必要になります。
まとめ
身体失認は、「自分の体を自分のものとして認識できない」という、非常に不思議で理解されにくい症状です。
しかし、適切な関わりとリハビリによって、少しずつ改善していく可能性があります。
脳卒中後の回復には、「筋力」や「動き」だけでなく、「認識」の問題にも目を向けることが重要です。
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- 麻痺側を使おうとしない
-
- 自分の体に違和感を訴える
といった様子があれば、身体失認の可能性も考えながら関わっていくことが大切です。
当施設では、こうした高次脳機能障害も含めた評価とアプローチを行い、「その人らしい生活の再獲得」をサポートしています。
よくある質問
Q. 身体失認は脳卒中患者のどのくらいに起こりますか?
身体失認は特に右半球に損傷がある脳卒中患者に多く見られます。
右半球損傷後の片麻痺患者を対象にした研究では、一定の割合で身体失認が確認されており、重度の損傷ほど出現しやすいとされています。
ただし発症率は評価方法や対象によって異なるため、担当のリハビリ専門職による個別評価が重要です。
Q. 身体失認は回復しますか?
適切なリハビリアプローチを続けることで、症状が徐々に改善するケースは多くあります。
ただし回復の度合いは損傷の部位や程度、リハビリ開始の時期によって異なります。
当施設をご利用の方でも、繰り返しリハビリをすることで改善した方もおられます。
早期から評価と介入を始めることが、回復を促す上で重要です。
「もう治らない」と諦めず、専門家に相談してみてください。
Q. 身体失認と半側空間無視は同時に起こることがありますか?
はい、両方が同時に見られるケースは珍しくありません。
どちらも右半球損傷後に起こりやすく、症状が重なることで日常生活への影響がより大きくなります。
それぞれの症状に対して異なるアプローチが必要なため、どちらの要素が強いかをリハビリ専門職が評価したうえで対応を検討することが大切です。
Q. 家族は身体失認の方にどのように対応すればよいですか?
最も大切なのは、「それは違う」と否定しないことです。
本人は脳の障害によって本当にそう感じているため、説得しようとしても混乱や精神的な負担につながることがあります。
「そう感じるんですね」と一度受け止め、リハビリの場面では専門家のアドバイスに沿った関わり方をするのがおすすめです。
困ったことがあれば担当のリハビリスタッフに相談してみてください。
まずはお気軽にご相談ください。
「自分や家族の場合はどうなんだろう」
「今やっているリハビリで、この先も大丈夫なのか」
そんな気持ちを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。
ナッセボディワークス兵庫伊丹・宝塚は、
脳卒中・パーキンソン病・脊髄損傷など、
病院でのリハビリを終えた後も
“動きと生活をどうつないでいくか”
を大切にしている自費リハビリ施設です。
一人ひとりの状態を丁寧に確認し、
電気刺激治療機IVES(アイビス)や
免荷歩行装置アンウェイなども活用しながら、
今の生活環境や目標に合わせた関わりを行っています。
「通うかどうか」ではなく、
「今の状態をどう捉えればいいのか」
を整理するだけでも構いません。
まずは気軽に相談できる窓口として、
LINEでの無料相談をご用意しています。
また、実際のリハビリの考え方や現場の雰囲気は、
文章だけでは伝わりにくい部分もあります。
センター長自身が解説しているYouTubeチャンネルでは、
日常生活での困りごとやリハビリの視点についても発信しています。