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重度の麻痺があっても歩けるようになるのか?

コラム

脳卒中後の後遺症による重度の片麻痺により、
「もう歩くことは難しいのではないか」
と感じている方は少なくありません。

しかし、適切なリハビリテーションを継続することで、
たとえ重度の麻痺があったとしても「歩く」ことを目指すことは可能です。

今回は、自費リハビリ施設ナッセボディワークス兵庫伊丹・宝塚で行っているリハビリもご紹介しつつ、
重度の麻痺を抱えた方の歩行回復の可能性について解説します。


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重度の麻痺とは?

重度の片麻痺とは、主に脳卒中(脳梗塞や脳出血など)による後遺症として生じる運動機能の障害を指します。
具体的には以下のような状態が見られます。

  • 筋力の低下または完全な麻痺(患側の手足がほぼ動かせない)
  • 痙縮(けいしゅく)(筋肉が異常に緊張し、関節が固くなる)
  • 感覚障害(患側の感覚が鈍くなる、または感じられない)
  • バランス能力の低下(立つことや座ることが難しくなる)
  • 日常生活動作(ADL)の著しい制限(歩行、食事、着替えなどが自力でできない)

このような状態になると、リハビリの目標を「歩くこと」に設定するのは難しいと考える方も多いですが、
実際には適切なリハビリで回復の可能性があります。


なぜ歩行が難しくなるのか?

重度の麻痺があると、歩行にはさまざまな障害が生じます。

  1. 筋力不足と痙縮
    麻痺側の脚の筋力が低下しているため、体を支えることができません。
    また、痙縮があると関節が硬くなり、正しい歩行動作ができなくなります。
  2. バランスの崩れ
    片麻痺では、体の左右のバランスが大きく崩れます。
    そのため、立ち上がることや一歩を踏み出すことが難しくなります。
  3. 感覚の喪失
    麻痺側の脚の感覚が鈍いと、足の裏が地面についているかどうかが分からず、適切な歩行動作を行うのが困難になります。
  4. 歩行パターンの崩れ
    正しい歩行パターンを脳が忘れてしまい、無理な動作で歩こうとするため、転倒のリスクが高まります。

重度の麻痺でも歩行を目指せる理由

「歩くことは無理」と思われがちな重度の片麻痺ですが、近年のリハビリ技術の進歩により、さまざまな手法で歩行の可能性を引き出すことができます。

1. 神経可塑性を活かしたリハビリ

脳には「神経可塑性」と呼ばれる機能があり、損傷を受けた部分を補うために新しい神経回路を形成することが可能です。
適切なリハビリを行うことで、麻痺があっても脳の別の部分が歩行をサポートするようになり、機能回復が促されます。

2. 補助器具の活用

歩行器や装具などを活用することで、安全に歩行練習を行うことができます。

3. 筋力と柔軟性の向上

個別のトレーニングを通じて、残存している筋力を強化し、痙縮を軽減することで、歩行に必要な体の機能を高めることができます。

4. 反復的な歩行訓練

歩行練習を繰り返し行うことで、脳が「歩く動作」を再学習しやすくなります。
歩行補助具やセラピストのサポートを受けながら少しずつ歩行能力を高めていくことが重要です。


ナッセボディワークスのアプローチ

当施設では、重度の麻痺を持つ方の歩行回復をサポートするために、以下のようなリハビリを提供しています。

1. マニュアルセラピー(徒手療法)

セラピストが手技を用いて筋肉の緊張を緩和し、関節の動きを改善します。
これにより、歩行に必要な可動域を広げます。

2. 歩行特化トレーニング

歩行補助具を使用しながら、安全な環境で繰り返し歩行練習を行い、歩行パターンの改善を図ります。

3. 体幹とバランスの強化

歩行には体幹の安定が欠かせません。バランス訓練を取り入れ、転倒しにくい体作りを目指します。

4. 電気刺激治療器「IVES(アイビス)」の活用

IVESは、筋肉に微弱な電気刺激を与えることで麻痺した筋肉の動きをサポートし、歩行に必要な筋力を回復させることを目的とした治療器です。
神経の回復を促し、動かしにくい筋肉を効率的に活性化させることで、歩行動作の改善につながります。

5. 免荷式歩行器「POPO(ポポ)」による歩行練習

POPOは、体重の一部を免荷(軽減)しながら歩行訓練ができる装置です。
通常の歩行が難しい方でも、安全に歩行練習を行うことが可能であり、正しい歩行パターンを学習するのに役立ちます。
負担を軽減しながら、無理なく歩行動作を繰り返すことで、歩行機能の向上を目指します。


まとめ:諦めずにリハビリを続けよう

重度の麻痺があっても、適切なリハビリを継続することで歩行の可能性は広がります。
ナッセボディワークスでは、一人ひとりの状態に応じたリハビリを提供し、歩くことを目指す方を全力でサポートします。
「もう歩けない」と諦める前に、まずは専門家に相談してみませんか?

歩行回復の第一歩は、一歩を踏み出すことから始まります。あなたの可能性を広げるために、一緒に頑張りましょう!

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手