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「なんでこんなことができないの?」と感じたときに知ってほしい 高次脳機能障害とは

コラム

脳卒中や頭部外傷のあと、ご家族がふと感じることがあります。
「さっき言ったのに覚えていない」
「簡単なことなのにできない」
「やる気がないのでは?」
こうした疑問や戸惑いは、とても自然なものです。

しかし、それは決して「本人の努力不足」や「性格の問題」ではなく、高次脳機能障害と呼ばれる脳の働きの変化によるものかもしれません。

家族が高次脳機能障害でどうしたらよいのか分からない、という方はLINEで接するときのポイントや理解の仕方などお伝えします。

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高次脳機能障害とは?

高次脳機能障害とは、脳のダメージによって「考える・覚える・判断する・行動する」といった働きに問題が生じる状態を指します。

具体的には以下のような症状があります。

  • 記憶障害:新しいことを覚えられない、すぐ忘れてしまう
  • 注意障害:集中が続かない、同時に複数のことができない
  • 遂行機能障害:段取りを立てて行動するのが難しい
  • 社会的行動障害:感情のコントロールが難しい、空気が読めない

これらは外見からは分かりにくいため、「できるはず」と思われやすい特徴があります。

例えば、
スーパーで買い物をしていてもスーパーに関係のないものを探してしまっていたり、
外を歩こうと思っても、車や他の歩行者などが異常に気になってしまい全然進まなかったりすることもありますが、
このようの状態も、高次脳機能障害による影響と言えます。

「できない」のではなく「難しくなっている」

こんな場面はありませんか?

  • 何度説明しても同じことを繰り返す
  • 途中で話が分からなくなる、違う話をしてしまう
  • 一つの作業に時間がかかる
  • 急に怒りっぽくなる

これらは本人がサボっているわけではありません。
脳の処理能力そのものが変化しているため、「以前と同じようにできない状態」になっているのです。

例えるなら、パソコンの処理速度が急に遅くなったようなもの。
同じ作業でも、時間がかかったり、途中でフリーズしてしまうことがあります。

家族が感じやすい「ギャップ」

高次脳機能障害で難しいのは、「できること」と「できないこと」の差が大きい点です。

例えば、

  • テレビの内容は理解できるのに、日常の約束は忘れる
  • 趣味はできるのに、家事はうまくいかない
  • 家の中ではできるのに、外ではできない

こうした状態を見ると、「やろうと思えばできるのでは?」と感じてしまいます。
しかし実際は、脳の使う領域によって得意・不得意が分かれているために起こる現象です。

関わり方のポイント

ご家族の関わり方で、本人の生活のしやすさは大きく変わります。

① 一度に多くを求めない

指示は短く、シンプルに伝えることが大切です。

複雑であればあるほど、何をどうすればいいのか、わからなくなり止まってしまいます。

② 繰り返しを前提にする

「また同じことを言っている」と感じても、覚えられない特性があるため、仕組みで補うことが重要です。

メモを残すことや環境を調整することで、本人にも少しずつ意識してもらう工夫が必要です。

③ 感情の変化を責めない

怒りっぽさや不安定さも、脳の影響によるものです。

当事者本人は不安な気持ちがあるはずです。

様々なことを常に考えていることで、突発的に感情的になってしまっているように見られがちです。

その方のなぜそのように感情的になったのか、サポートする立場として理解する関わりを意識することも必要です。

リハビリでできること

高次脳機能障害は、「完全に元通りになる」ことだけがゴールではありません。

リハビリでは、

  • 残っている機能を活かす
  • 苦手な部分を別の方法で補う
  • 日常生活に合わせた工夫を身につける

といった形で、生活の質を高めていくことができます。

高次脳機能障害になると何もかもがちぐはぐ、のようになっているかに見えますが、
難易度を調整した段階的なリハビリを行うことで、徐々にその状態でも行える動作を増やしていくことも可能になっていきます。

まとめ

「なんでできないの?」という疑問の裏には、
「前はできていたのに」という戸惑いと不安があります。

しかしその変化は、本人の問題ではなく、脳の働きの変化によるものです。

少し見方を変えて、「どうすればできるようになるか?」と考えることで、関わり方も大きく変わります。

ご本人もまた、「できなくなった自分」に戸惑い、悩んでいます。
その気持ちに寄り添いながら、できることを一緒に増やしていくことが大切です。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手