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脳梗塞の後の首の痛みについて

コラム

脳梗塞のあとから、首や肩まわりが常に重だるい。
振り向くと首が痛む、長く座っていると首がつらくなる。
マッサージを受けると少し楽になるけれど、またすぐ戻ってしまう。
病院では「年齢のせい」「肩こりでしょう」と言われたが、発症前とは明らかに違う感じがする。

こうした首の痛みは、脳梗塞後の方から非常によく聞かれる訴えです。
実はこの首の痛みも、脳卒中特有の身体の変化と深く関係していることが少なくありません。

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脳梗塞後に首の痛みが起こりやすい理由

脳梗塞を発症すると、麻痺の有無にかかわらず、身体の使い方は大きく変化します。

・頭と体幹の位置関係が崩れる
・無意識に頭部を固定しようとする
・視線を動かす代わりに首だけで調整する
・体幹の回旋(ひねり)が使えず、首で代償する

これらが重なることで、首周囲の筋肉に過剰な緊張が生じやすくなります。

「首が悪い」より前に起きていること

首の痛みがあると、どうしても首そのものに原因があるように感じがちです。
しかし脳梗塞後の場合、実際にはその前段階に問題が隠れていることが多くあります。

代表的なのが、体幹機能低下です。

体幹とは、頭と手足をつなぐ胴体部分のことで、
姿勢を安定させる土台の役割を担っています。

脳卒中後は、
体幹の左右差や筋活動の低下によって、
「頭を体幹の上に自然に乗せておく」ことが難しくなる場合があります。

その結果、
頭部を支えるために首や肩周囲の筋が過剰に働き、痛みにつながります。

脳卒中特有のキーワード①「姿勢制御障害」

専門用語になりますが、姿勢制御障害という概念があります。

これは、
「身体をまっすぐ保つ」「バランスを微調整する」
といった無意識の調整機能がうまく働かなくなる状態を指します。

脳梗塞後は、
・座っているだけ
・立っているだけ
という場面でも、姿勢を保つための余計な努力が必要になります。

この負担が、首や肩に集中すると、
安静にしていても首が痛い、という状態が起こります。

脳卒中特有のキーワード②「感覚入力の低下」

もう一つ重要なのが、感覚障害です。

麻痺が軽くても、
・首がどれくらい傾いているか
・頭が体の中心に乗っているか
といった感覚情報が脳に正確に伝わらないことがあります。

その結果、
「ずれた姿勢」に気づかないまま、
首に負担のかかる姿勢を長時間続けてしまうケースがあります。

マッサージは脳梗塞後の首の痛みに有効か?

首の痛みに対して、マッサージを受ける方は多いと思います。
実際、筋緊張を一時的に和らげる効果は期待できます。

ただし脳梗塞後の場合、

・姿勢制御の問題
・体幹と頭部の連動不全
・感覚入力のズレ

といった根本が変わらないままだと、
マッサージの効果は長続きしにくくなります。

「その時は楽だが、動くとまた痛い」
という方は、このパターンに当てはまることが多いです。

首の痛みは「首だけ」のリハビリでは改善しにくい

ボディワークスでは、首の痛みがあっても、
いきなり首だけを評価・治療することはほとんどありません。

確認するのは、

・座位・立位での頭と体幹の位置関係
・体幹回旋(ひねり)の使い方
・視線移動と首の動きの関係
・上肢使用時の首・肩の緊張

といった、全身の動作の中で首がどう使われているかです。

IVESを用いたアプローチの考え方

脳梗塞後は、
体幹や肩甲帯(肩甲骨まわり)の筋に力が入りにくくなる方が多く見られます。

本来これらの筋が担うべき役割を、
首の筋が代わりに引き受けてしまうことで、痛みが出やすくなります。

当施設では、
こうした「本来働いてほしい筋」に対して
IVES(アイビス:電気刺激治療器)を用いることがあります。

IVESは、
本人の動かそうとする意識に合わせて刺激が入るため、
正しい筋活動を再学習しやすい特徴があります。

首を直接刺激するのではなく、
首の負担を減らすための環境づくりとして活用します。

首の痛み改善の鍵は「頭と体幹の再統合」

脳梗塞後の首の痛み改善で重要なのは、

・頭部を体幹の上に自然に乗せる
・体幹から動きを作り、首は補助的に使う
・感覚情報を再学習する

といった、頭と体幹の連動を取り戻すことです。

これが進むと、

・長く座っていても首が楽
・振り向き動作がスムーズ
・肩こり感が減る

といった変化が徐々に現れてきます。

まとめ

脳梗塞後の首の痛みは、
単なる肩こりや加齢によるものではなく、
脳卒中特有の姿勢制御や感覚の問題が関与していることが多くあります。

マッサージだけで改善しにくい場合は、
首以外の要素に目を向けることが大切です。

全身の動作を見直し、
必要に応じてIVESなども活用しながら、
首に負担が集中しない身体の使い方を再構築していくことが、長期的な改善につながります。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手