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リハビリをおこなう際に気を付けておきたいこと~リスク管理について~

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リハビリとはどんなものなのかはこちらのコラムなどでも触れてきましたが、結局は少しでも心身機能を改善することで、再び日常生活が送れるようにするためにおこなっています。

リハビリでは良くなるというメリットだけではなく、適切な方法でおこなわなかった場合にはデメリットも生じてしまうことがあります。今回はそのデメリットを少しでも生じさせないようにしながらリハビリを進めるために気を付けておきたいリスク管理について、以下のようなポイントでご説明します。

・疾患ごとのリスク管理

・年齢ごとのリスク管理

リスク管理はその人を取り巻く状況によってそれぞれ異なるため、その人にあったリスク管理をすることが重要です。その点に注意して見ていきましょう。

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リスクを管理するとはどういうことか?

リスク管理とは、リハビリをしていることで大きな事故やケガ、病気を未然に防ぐための対策のことを言います。

例えば、歩いていて明らかにふらふらしている方であれば杖や歩行器を使用してもらうことで、転倒を未然に防ぐことができます。

あるいは、リハビリ中に片脚立ちの練習をしている時は、いつ倒れそうになっても抱えられるようにセラピストが側について見守ることもリスク管理をしている状態と言えます。

この他にも心臓疾患があり血圧か高くなりやすい方の場合は、運動前後には血圧測定をして運動ごとの血圧の挙がり具合をモニタリングする等もリスク管理です。

このようにリスク管理とは、リハビリ中に発生することが予測できる事象に対して、未然に対策をしていることを言います。

疾患ごとのリスク管理

先ほどの例のように転倒や血圧などの異常がある、ということはその人それぞれによっても異なってきます。

当たり前のことですが、Aさんは腰痛があっても血圧は正常、Bさんは左半身に麻痺があって左手足の感覚がない、という状態はそれぞれ異なります。

そのため、リスク管理も統一的な対応をするよりも、個別的な対応することが必要です。

全くふらつく心配がない方に、いつまでも転倒するかもしれないと思って片時も離れないで介助できるようにしておく、というのはリハビリ介入のバリエーションを狭めてしまう可能性もありナンセンスですよね。

今回は代表的な疾患のリスク管理についてご紹介します。

脳卒中のリスク管理

主な症状として半身の麻痺が挙げられます。麻痺と一言でいっても、動かしにくくなる運動麻痺と触っている感覚が分かりにくくなる感覚麻痺の2つに大別できます。

運動麻痺の場合

いわゆる半身麻痺と聞いてイメージする状態とはこんな感じではないでしょうか?

腕が曲がっていて、脚は反対にあまり曲がらないような姿勢を呈します。(あくまでも代表的な姿勢の一つであってすべての人がこれに該当するわけではありません。)

この姿勢から考えられるリスクの一つは『転倒』が挙げられます。

脚が伸びていて曲げにくいため、すり足のような歩き方になることもあり、その場合はごく小さな段差でさえもつまづいてしまう可能性があります。

自宅内の移動がメインであれば、小さな段差も極力解消しておくことが望ましいです。また段差があるところには手すりを設置する等の環境整備が必要となります。

感覚麻痺の場合

触れているものが分かりにくくなってしまうことを感覚麻痺と言います。

この場合は触れている事に自分自身が気付いていないことによるトラブルを避けることが大切です。

例えば、沸騰したてのやかんに麻痺した手に当たってしまい、やけどを負ってしまう等です。通常であれば、熱いものに触れた際は反射的に手を離すようなしぐさをしますが、感覚麻痺があると触れている感覚が鈍くなるため反射が起きにくくなってしまうため注意が必要です。

パーキンソン病のリスク管理

パーキンソン病は姿勢反射障害と呼ばれる、バランスが悪くなる症状を呈するようになると転倒が増えてしまうため、歩行器の導入等を検討する必要があります。

また、突進様の歩行と呼ばれるように、歩いていると徐々に前につんのめるような歩き方になるため、一部の歩行器では歩く速度を抑制するような機能がついている歩行器もあるため、そういった歩行器の使用も検討します。

その他に服薬を続けていくと、お薬が良く効いている「オン」の状態と効いていない「オフ」の状態になることがあります。オフの状態にはなるべく動かないようにする等のリスク管理も必要です。

人工股関節全置換術後のリスク管理

変形性股関節症などによって人工関節にされる方は多くいらっしゃいますが、これまで通りの関節と思って動かすことができるわけではなく、一部の動作に制限がかかります。

手術の術式によっても異なりますが、股関節を『屈曲・内転・内旋』させる姿勢は人工関節の脱臼リスクとなるために注意が必要です。女性に多いかもしれませんが、膝を内側に入れてしゃがんだり、横座りするような姿勢が『屈曲・内転・内旋』となるため、その姿勢をとらないようにしましょう。

脱臼について詳しくはこちらも参照してみてください。

年齢ごとのリスク管理

歳を重ねれば重ねるほど病気やケガのリスクが高まることは言うまでもありませんが、具体的にどんな対策が必要になるのか60歳以降の各年代別の対策を説明します。

60歳台のリスク管理

60歳ではまだまだ現役で働いている方も多くいらっしゃる年代です。この年代では歩きでふらつくということはあまり多くはないかと思います。

一方で身体の内部の状態は疾病リスクが高まっている状態になりつつあります。血管や臓器等の状態の変化がどうなっているかを定期的にモニタリングしておくことが重要となります。日々血圧を確認したり、適度な運動や食事内容を気を付ける等がリスク管理になります。

70歳台のリスク管理

最近ではこの年代でも現役で働いている方もいらっしゃる年代です。働いてバリバリ動ける方がいる一方で、大きな病気やケガを負ったり、見つけてしまう方も増えてくる年代でもあります。例えば、これまで通りと思っていても、身体の反応速度は70歳台を境に遅れてしまっているため、自転車や自動車の事故にあってしまいケガをしてしまうことに繋がってしまう可能性があります。インターネットで検索すると反応速度の測定も簡易的におこなえるのでぜひお試しください。

80歳台のリスク管理

このぐらいの年代になると1度は何らかの病気やケガをしたことがある方がほとんどになっています。その影響もあり症状が複合的な状態となっているため、それぞれに対応するリスク管理が必要になります。また70歳台の頃よりも筋肉量も低下し歩行していてもふらつくことも増えてくるため、杖や歩行器など転んだ経験がなくても使用しておくことで未然に転倒を防ぐことができます。

90歳台のリスク管理

身体のあらゆる機能が低下している状態であはあるが、転倒予防や定期的な医師の診察などをすることで現状を維持できるようにすることが必要です。

また、私の印象ではありますが、90歳台でも比較的元気にされている方は食事を多く食べているということが挙げられます。これも習慣なので、90歳になる以前からの対策として必要となりますが、栄養に配慮することも大切ですが、あまりストレスなく自分なりに生活していくことも大切かもしれません。

その他のリスク管理

前述もしていますが現代では昔に比べると、住環境を変えやすくなったと思います。介護保険を利用した手すりの設置や歩行器等のレンタルも可能となっています。

介護保険などを利用すれば、社会資源として利用できます。ただし、介護保険などが使えない場合はご自身で用意する必要があります。ある程度自分自身の状態を把握し、それに合った適切なリスク管理をするための情報収集をすることも必要となります。

大きな病気やケガをする前に予防できるような対策をしていくことがリスク管理の最大のメリットです。

まとめ

リスク管理はある程度意識的におこなわないとやらないため、大きな病気やケガを引き起こしてしまうことになります。重要なことは大きな病気やケガにならないためにできることを考えて(探して)、対策することです。今大丈夫でも、今の内からできることをして、長い人生を楽しみましょう!

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手