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リハビリの目標設定って難しい……、と思っていませんか?

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今回は、リハビリにおける『目標』について、治療者目線で、少しお話したいと思います。

リハビリに限らず、ですが、何かを達成しようとする時に、『目標』はとても重要なものです。

例えば目標を持つことで、

 ・その達成までの方向性を示すものになってくれます。

 ・その達成を叶えるための原動力となる、意欲を引き起こしてくれます。

…ただ、その『目標』の設定が曖昧だったり、漠然としたものだと、効果的なものとはなりません。

では、その目標設定は、どうすればよいのでしょうか。

ポイントは、

①“逆算思考”による時間の考え方

②“具体性”を兼ね揃えた目標の明確化

次の章で、詳しく述べていきたいと思います。

目標設定の重要性については「「目標をもってリハビリテーションをするとより効果的?」 ~リハビリの目標設定が必要な理由~」も参考にしてみてください。)

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①“逆算思考”による時間の考え方とは?

まず、上で述べた①のことについて話していきたいと思います。

この“逆算思考”とは、最終的に到達したい大きな目標から、遡って考えていく方法です。

最終的な目標に関しては、漠然としたものでも構わないかと思います。

もしかしたら、施設や環境によって、決まっているものもあるかもしれません。

(病院でしたら自宅退院、ご自宅でしたら安全に1人で暮らせる、等々)

その大きな目標が、いつまでに叶えたいものなのか、実現させないといけないのかを、期間を設定します。

病院等では、ざっくりと、2週間後に自宅退院、1ヶ月後に回復期病棟への転院、のように設定しやすいかもしれません。

介護施設やご自宅生活の場面では、実際のご利用者様やご家族様の希望を聴くと、設定しやすいかもしれません。

次に、その長期的なスパンの目標を、より短い期間のスパンで区切っていきます。

病院等では、疾患や手術様式によりプロトコルがあるでしょうから、イメージしやすいかもしれません。

大きな長期的な目標が数年単位のものでしたら、まずは1年後、どうなっておかないといけないか考えます。そこから半年後、3ヶ月後、1ヶ月後、と細分化していきます。

リハビリ実施計画書の、長期目標・短期目標に当てはめると、分かりやすいのではないでしょうか。

この、期間設定をした後に、②の“目標の明確化”につなげていきます。

②“具体性”を兼ね揃えた目標の明確化とは?

さて、①で期間設定した各々に、それまでに達成していく『目標』を考えていきます。

この時にできるだけ、“具体的に”、“数値化して”、目標を設定していきます。

なぜかと言うと、、、

“具体的”であると、何をしたらよいかのイメージがしやすくなるからです。

“数値化”していると、効果判定や評価、達成度の目安になりやすいからです。

例えば、、、

✕のような目標では、もし達成できなかった時に、何が足りなかったのかイメージがしにくいです。

何が足りなかったのかイメージしにくいという事は、その目標達成を再び目指すときにどのようなリハビリをすればよいのかが不明瞭になりやすいという事です。どんな杖で歩くのか?どの程度歩けたら「歩けた」という事になるのかが分からなければ、目標達成されたのかも分かりにくいです。

逆に◯のような目標だと、距離として、時間として、どのくらい足りなかったのかイメージしやすいです。コチラの場合は、仮に目標達成していなくても、3mは歩けるようになっているのであれば、残りの2mが持久力的に難しいのか、心肺機能が不足しているのかを考えリハビリを提供することができます。

また当の本人様が、どこまで出来たかもイメージしやすく、次の目標に向けての意欲も出やすくなります。

では、①と②を併せて、どのように設定していくとよいのか、実際に例を挙げてみましょう。

目標設定の例 そのいち

回復期病院にて、脳梗塞右麻痺の方が、半年後に在宅復帰を目指す場合

 

患者様に聞き取り行うと、在宅復帰には最低限、屋内を補助具なしで歩けることが必要

→長期目標として、「半年後に屋内独歩自立」と設定

 ↓

そのためには、家屋環境に応じた動作練習必要、室内を動き回る持久力も必要

→3ヶ月後には、病院の整った環境内で、杖歩行自立は出来ていてほしい

→中期目標として、「3ヶ月後に屋内整地を20m杖歩行自立」と設定

 ↓

そのためには、立位での動的バランス向上、振り出し時のクリアランス確保が必要

杖歩行の練習期間も考えておく必要あり

→1ヶ月後には、平行棒内での歩行は見守り下で出来ていてほしい

→短期目標として、「1ヶ月後に平行棒内歩行見守りレベル」と設定

目標設定の例 そのに

退院後在宅にて、日常生活の不便の解消とできる限り元の生活状態に戻りたい、という希望のある方の場合

ご利用者様に聞いてみると、脊柱管狭窄症の既往あり

トイレに行く際に腰が痛くてつらい、トイレで座った姿勢でいるのもつらいとのこと

また、以前のように自転車に乗って近所のスーパーまで買い物に行きたい

→長期目標(6ヶ月)として、「近所のスーパーまで自転車に乗って買い物に行ける」と設定

 ↓

そのためには、痛み自制内で10分間座位保持ができることが必要

自転車運転という、不安定な操作の動作練習も必要

詳しく伺うと、背中が反る姿勢の時に特に痛みが強く出る様子

まずは背中の反りを緩和することが痛みを軽減し、つらさや不便さの解消となるか

→短期目標(1ヶ月)として、「腹筋群を鍛えて痛み自制内でトイレに座っていられる」

まとめ

今回最初に、「リハビリの目標設定って難しい……、と思っていませんか?」と問い掛けしましたが、どうでしょうか。

ここまで読んでいただいて、まだ、苦手意識はあるでしょうか。

私自身も、一セラピストとして、どう設定したらいいかな?と悩むこともあります。

ただ、それだけ悩むということは、それだけ患者様やご利用者様のことを真剣に考えているということ。

良くなってほしい、と思うからこそ、目標設定ひとつにしても、難しく考えてしまうのだと思います。

また、多くの患者様やご利用者様は目標設定をしたこともないため、目標もあいまいなものになりがちです。

今回お伝えした「①“逆算思考”による時間の考え方」と「②“具体性”を兼ね揃えた目標の明確化の考え方」は、そんな悩めるセラピストの手助けになるはず、と信じています。

また、この目標設定は、セラピストと対象者が同じ方向を向いて二人三脚していく、道しるべにもなります。

相手をよく知り、真摯に取り組む中で、信頼関係を築き、意欲向上も促しつつ、目標を達成していく。

そんな流れを実現するのに、今回のコラムが何かしらの力になってもらえるなら、ありがたいです。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手