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介護保険でできるリハビリを最大限効果的に活用するために知っておくべきこと

コラム

現在の日本では高齢の方が病気やケガをして、病院に入院した後の生活を支える公的な制度として介護保険があります。

多くの方が介護保険を利用しており、要介護(要支援)と認定されている人の数は令和3年9月の時点で688万人となっています。

これだけ多くの方が利用している介護保険のサービスですが、実際に利用している方やそのご家族の方はどんなサービスがあって、その中でもどんなサービスを利用しているのか把握できている方はどれくらいいるのでしょうか?

今回は介護保険でできるリハビリについて、以下のポイントでまとめました。

  • 介護保険でリハビリができる施設
  • 介護保険でできるリハビリの内容

介護保険というと複雑な印象をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、可能な限り簡単にご説明できればと思いますので、ぜひご参考にしてみてください。

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リハビリサービスの決め方

私が介護保険を活用した訪問リハビリの仕事に従事していたころに、とある利用者の方が「こんなサービスがあるなんて知らなかったです」とおっしゃっていました。

その時私はこういった業界にいるので当たり前のように感じていましたが、改めて考えてみると、いざ自分が必要になったときにしかお世話にならないから知らないかも、と思いました。

基本的には介護保険を使ったサービスのプランニングはケアマネジャーがおこなっています。

一元的にこの状態の人にはこのサービスというものではなく、個々の状態や希望などに応じたサービスを複数組み合わせることでその人に合った最適の介護保険サービスを提供するようになります。

例えば、リハビリについて、「もっとリハビリしたいのにこれでは足らない」「このリハビリはちょっとハードだし、他の人ともおしゃべりしながら気楽に過ごしたい」など利用される方によっても感じ方はそれぞれです。

どのようなサービスにするかは、ケアマネジャーを含む介護サービスをおこなう事業者とご本人様やそのご家族様が一堂に会して話し合いをして決めることが可能です。

しかし、前述もしましたが、どのようなサービスがあるのか知らないと、言われるがままになってしまい自便自身の希望が通らない、なんてこともあるかもしれないので、ある程度は介護保険で利用できるサービスは把握しておくことをオススメします。

介護保険で利用できるリハビリ

一言に介護保険と言っても、利用できるサービスは複数あります。

そんな中でもリハビリに限って言えば、大きく分けると3のサービスを利用することが可能です。

  • 通所系サービス
  • 訪問系サービス
  • 入所系サービス

以前にも病院を退院した後に利用できるリハビリについてコチラにまとめましたので、こちらも参考にしてみてください。

順番に1つずつご説明していきます。

通所系サービス

デイサービスやデイケアなどという言葉は聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。

通所介護のことをデイサービスといい、通所リハビリテーションのことをデイケアと言い換えて親しまれています。

これらの2つのリハビリにおける違いは、リハビリ専門職種がリハビリを担当しているかどうか、というところに違いがある可能性があります。

なぜ「違いがある可能性」というまわりくどい表現にしているのかについて説明しますね。

まずはデイケアですが、リハビリはリハビリ専門職種が担当しています。理学療法士や作業療法士、言語聴覚士の3職種のことをいい、いずれかがリハビリをおこないます。

一方、デイサービスではリハビリ専門職種でない人が担当する可能性があります。どういうことかというと、上記の3職種の人が担当しているデイサービスも世の中にはありますが、非常に少ないのが現状です。では誰が担当しているのかというと、機能訓練指導員が担当しています。

デイケアとデイサービスにおいてはそれぞれの目的が異なります。

デイケア:身体機能や認知機能の回復のために医者の指示のもと専門的なリハビリする

デイサービス:日常生活の支援を受けながら他者交流などを楽しむ

このように違いがあります。

デイサービスではリハビリをすることが目的ではないので、リハビリ専門職種を配置する必要がないため、柔道整復師や鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、看護師などがリハビリとして機能訓練を実施することが可能となっています。

デイサービスの中には、弊社のように理学療法士や作業療法士がリハビリを実施している施設もあるので、ご確認いただくことをオススメします。(弊社デイサービス

訪問系サービス

これについても2つから選ぶことが可能です。

  • 訪問リハビリテーション
  • 訪問看護

訪問リハビリテーションはリハビリって書いてあるので分かりますが、訪問看護って看護師がリハビリをするのですか?と思う方もいらっしゃるかもしれません。

まずこれらの違いからご説明します。違いは大きく2つです。

まず1つ目に運営している団体が異なります。

訪問リハビリテーションは病院や老人保健施設などが運営しています。

一方で訪問看護は訪問看護ステーションが運営しており、この訪問看護ステーションは会社法人などが運営していることが多いです。

2つ目の違いはリハビリの指示を出している医師です。

訪問リハビリテーションはその運営している病院などに所属している医師が指示を出します。

訪問看護の場合は、ご利用される方のかかりつけの先生がリハビリの指示を出します。

訪問看護とありますが、訪問看護ステーションには理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が所属してリハビリをしていることもあるので、その場合は訪問リハビリテーションと内容に変わりはほとんどありません。

ご利用を検討している訪問看護ステーションにリハビリ専門職種が所属していて、リハビリをすることができるかどうかは、一度確認してみてください。

いずれにしても在宅生活を続けていくことを目的としたリハビリを提供しているので、自宅内やその周辺の動作が安全におこなうためのリハビリをおこないます。

入所系サービス

最後に入所系サービスですが、これは3つの施設に分かれます。

  • 特別養護老人ホーム
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

それぞれのリハビリについてご説明します。

特別養護老人ホーム

いわゆる特養(とくよう)と呼ばれる施設です。要介護3以上の比較的重度の方のみが入所できる施設です。リハビリはデイサービスと同様に機能訓練という位置づけであるため、リハビリ専門職種が必ずいるわけではありません。

介護老人保健施設

こちらは老健(ろうけん)と呼ばれる施設です。回復期病院の退院する際に自宅退院が難しいなどの場合にもう少し入所してリハビリをするという使い方もできる施設です。リハビリ専門職種を配置しなければならない基準があるのでリハビリはリハビリ専門職種がおこないます。

介護医療院

簡単に言うと、医療処置が必要な要介護者が長期療養できる施設です。介護保険で利用できる施設でありながら、医療的な処置もできる施設ということで2018年に新設された施設区分です。リハビリはリハビリ専門職種が担当してくれます。

それぞれの入居施設によってはリハビリの提供方法などに違いはありますが、病院ほどはリハビリできる時間も頻度も減ってしまう場合が一般的です。

老健は短期間しかいることができない施設なので、リハビリで良くなってはれて退院!ということを目指しますが、自宅復帰できるために必要なリハビリをおこないます。

特養や介護医療院は長期間入所する、つまり自宅には戻らずに最後を迎えるというケースもあります。どちらかというとリハビリよりケアに重きを置いている施設となります。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

介護保険で活用できるリハビリ資源についてご説明させていただきました。各事業所や施設によっても異なるため、検討中の場合は個々に確認が必要ですが、大枠としては上記のようになっています。

歳を重ねていくとほとんどの方がこの介護保険サービスのいずれかを利用することになる可能性が高いと考えられます。

将来のためや今のサービスで良いのかな?、などお考えの方は少しでも参考にしていただいた上で、担当のケアマネジャーなどに相談していただいた方がスムーズかもしれませんね。

みなさまがより良いリハビリサービスに出会えることを心より願っております。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手