コラム COLUMN
脳梗塞とは?どんなリハビリをするのが効果的か?
脳梗塞を発症すると、どんな状態になるかご存じでしょうか?
脳梗塞を発症した有名な方で言えば、プロ野球巨人元監督で五輪の野球の日本代表監督をつとめた長嶋茂雄さんです。
長嶋さんには重度の言語障害と右半身の麻痺があると言われています。
Mr.Childrenの歌手の桜井和寿さんも2007年、当時32歳という若さで脳梗塞を発症していますが、
現在は大きな後遺症もなく活動を続けられています。
このように、その症状は様々で、人によってその種類や程度は大きく異なります。
またその程度が重度化している場合等は、
これまでの生活とは大きく異なった生活をせざるを得なくなってしまう方も少なくはありません。
脳梗塞を発症すると、身体はどうなるのか?
どのような症状になりやすいのか?
また、その治療方法で効果的なものはなんなのか?
気になると思います。
今回のコラムでは以下のことが分かるようになっています。
- 脳梗塞とはどんな病気で、どんな症状があるのか?
- 脳梗塞にはどのようなリハビリが効果的なのか?
病気の理解を深めることでも、リハビリ効果を高めることに繋がる可能性が高まるので、ぜひご覧ください。
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目次
脳梗塞とはどんな病気なのか?
脳梗塞とは脳内にある血管で血栓が詰まってしまい、その先にある脳の機能がはたらかなくなってしまう病気です。
血栓というのは血管内にあるかさぶたのようなもので、血流などの流れによってペロッと剥がれてしまうことで、血栓が血管内を流れていき様々なところで詰まってしまいます。
脳以外の例では肺や心臓などの血管内でも詰まることがあり、それぞれ肺塞栓症や心筋梗塞と呼ばれる病気のことです。
また、脳梗塞にはその詰まり方などによって3つの種類に分かれています。
ラクナ梗塞
血管の中でも末梢に近い細い血管で詰まるタイプの脳梗塞。
細い血管で詰まるので脳のダメージも小さく、症状としても比較的軽度であることが多い。
主に動脈硬化が原因となって引き起こされます。
アテローム血栓性脳梗塞
脳内の血管でも比較的太い血管で詰まるタイプの脳梗塞。
太い血管で詰まり、その血管の先に血液がいかなるため、脳のダメージは比較的広範囲に。
症状も複数の症状を発症するケースも多い。
比較的太い血管内にコレステロールが溜まることで血管内が狭まり、血栓が流れてきて詰まってしまいます。
心原性脳塞栓症
主に心臓でつくられた血栓が脳の血管まで流れてきて詰まってしまうタイプの脳梗塞。
心臓など血液の流れが強いところでできた血栓はサイズが大きく、太い血管でも詰まってしまいやすくなってしまいます。
アテローム血栓性脳梗塞と同様に太い血管で詰まるので、脳へのダメージも広範囲となることが多いですが、突然として大きな血栓が詰まると言う点ではこのタイプの方が、ダメージは大きくなるケースが多いです。
脳梗塞にはどんな症状があるのか?
脳内の血管が詰まることで、脳内にダメージを負うことが脳梗塞ということはご理解いただけたかと思いますが、実際にはどのような症状を発症するのでしょうか?
大まかに言うと、脳梗塞の症状は2つあります。
麻痺(マヒ)
冒頭でもこの麻痺という表現をしていますが、麻痺とは手や足が動きにくくなったりするもののことを言います。
実際には手や足だけでなく、腹部や顔面なども麻痺の影響を受けます。
麻痺は主に筋肉や皮膚表面の感覚などに影響を及ぼし、脳内のどの部位にダメージを負ったのかによって、身体のどの部位に麻痺があるのか推定することが可能です。
MRIなどの画像から、「脳のこの部位にダメージがあるから、足よりも手の方が動きにくいかも」という事が分かるため、リハビリをおこなう際にもそこからの情報は重要と考えられています。
高次脳機能障害
もう一つの症状として高次脳機能障害が挙げられます。
実は、脳は普段から複雑なことをあっという間に処理していて、今まで簡単にできていたことが、脳梗塞になり高次脳機能障害を発症すると、とても難しくなったりできなくなったりしてしまいます。
脳は下図のように大きく5つの領域に分かれており、高次脳機能障害は前頭葉・頭頂葉・側頭葉・後頭葉の4つの脳の領域で脳梗塞等によりダメージを負うと、高次脳機能障害を発症します。
また、高次脳機能障害にはいくつか種類があり、以下の表にまとめました。
便宜的に分かりやすいように頭頂葉や側頭葉など部位別に表記していますが、厳密に分かれているわけではありません。
脳内では部位別に相互作用しているような機能も多いため、必ずしもその部位のダメージがあるからと言って、上記のような症状が出るわけでもありません。
ちなみに高次脳機能障害の中でももっとも現れる症状は、
「失語症」
です。
約5~6割の方が何らかの失語症を発症すると言われています。
次いで注意障害、半側空間無視がそれぞれ20~30%程度を占めています。
このように脳はその部位によって、果たしている機能がそれぞれ異なるという性質を持っています。
脳梗塞にはどんな治療方法があるのか?
様々な症状を呈し、これまでの生活を大きく変えるかもしれない脳梗塞ですが、いくつかの治療方法があります。
外科的手術
ひとつは詰まった血栓を溶かすというものです。
また、それでは改善しにくい場合には、血管内に機械を入れて直接血栓を回収する方法などもあります。
この他に血管を拡張するステントを入れたりと様々な方法がありますが、多くは超急性期(発症後4.5時間以内)など発症から間もない方が対象となります。
服薬
急性期では薬を服用することで血栓を溶かすことができます。
しかし、発症後から時間経過とともに効果が薄れてしまうようです。
そのため、それ以降は血栓ができにくいようにすることで、再発を予防する服薬治療に切り替わります。
リハビリ
脳梗塞発症から6か月間がリハビリの効果がもっとも高くなる期間と言われています。(詳細はコチラを参照下さい)
症状の程度にもよりますが、急性期病院を転院し回復期リハビリ病院にて、麻痺や高次脳機能障害などの症状を改善するリハビリを受けることが可能です。
超急性期~慢性期に至るまで手術やお薬、リハビリなど治療方法があることは分かりましたが、ベッドの上でジッとしているだけではなかなか改善しません。
そういう意味でも、上記の治療方法の中でも重要な治療方法であり、自分の頑張り次第でも結果を変えることができる可能性があるのが「リハビリ」だと考えます。
リハビリで脳梗塞は治せるのか?
では、リハビリはどんな脳梗塞でも治すことができるのでしょうか?
それは残念ながら”No”です。
いくら腕のいいセラピストでも、患者さまがどれだけ治したいと思っていても、重度の脳梗塞の場合など、それ自体をなかったかのようにすることはできません。
ではリハビリとは何をしているのでしょうか?
脳梗塞のリハビリの方向性には大きく2つあると考えています。
代償
ひとつは代償です。
麻痺などでできなくなった動作を、別の方法などを考えてできるようにするという考え方です。
例えば、おこないにくくなった動作を特別な道具を用意することで可能とするような自助具というものもあります。
最近では食事の道具以外にも洗濯物を付けやすいようにする洗濯ばさみなど様々な自助具が出ています。
この他にも、今ある身体の機能を使って別の動作をできるようにすることで、目的とする動作を代償する方法もあります。
例えば、階段を上り下りする際には、通常であれば一足一段でおこないますが、脳梗塞などで、半身に麻痺がある場合などは、二足一段でおこなうことで、階段を上り下りすることができるようになります。
このように、脳梗塞などで麻痺や高次脳機能障害を発症しても、正常に機能している部分や症状の特性などを上手く活用することで、代償的に目的動作を遂行することができるようにリハビリで訓練します。
促通
もう一つのリハビリの考え方は促通です。
促通とは麻痺して動きにくくなった筋肉や動作をリハビリでの訓練によって、再び動くようにする考え方です。
促通方法には様々あり、歩くことができなくなった方に、セラピストの介助下にて歩行練習をおこなうことや、下図のような電気刺激装置を使うことで、筋肉に電気刺激を送り目的動作を訓練する方法があります。
他にも、最新のロボットを機器を使用したリハビリ方法などリハビリの方法にも技術の進歩によって変化がでてきています。
ただし、最新の治療方法は根拠となる情報が不足していることも多いので、確実に最新の治療が良いというわけではないので、注意が必要です。
リハビリにも色々な方法があるのですが、リハビリをおこなう際の基本的な方針としては”代償”か”促通”かこのどちらにするのかをご利用者さまに確認しています。
どんなリハビリが効果的か?
あまりこのようなことを聞かれることはありませんが、私自身が脳梗塞を発症したらまず思うことだと思います。
今の自分の状態には何が適切なリハビリなのか?その答えはどこにあるのか?気になるところだと思います。
では実際に、効果的なリハビリをするためには何をすると良いのか?
目標が明確な方が効果的
何を、どうやってするために、リハビリをするのか?
先にも述べたように”代償”にするのか?”促通”にするのか?リハビリの方向性を決める上でも重要です。
まずは、どうなりたいのかセラピストに伝えるべきです。
病気の知識もあまりなければ、どのくらい改善するのかもイメージは湧かないかもしれませんが、とにかく伝えることが大切です。
主体的に取り組む
「セラピストに動かされているだけの脚」
ではなく、
「自分自身+セラピストで動かしている脚」
と感じながらリハビリをすること。
いわゆる運動主体感などと表現されることもありますが、これを持つことが重要です。
自分の身体を自分で動かしているという感覚を持つことは、運動能力を向上させるという論文もあるくらいです。
特に脳梗塞などの麻痺が生じる場合は運動主体感が著しく低下する傾向がありますが、その状況でも自分で動かしているという感覚を持つことは重要です。
実際の動きを眼で見て確認することもポイントですね。
世の中には色々な治療の手技や機器があり、確実にこれが正しい!というものはありません。
しかし、上記はどんな程度の方であっても、脳梗塞のリハビリを受けている人であれば大切なポイントになります。
【まとめ】諦めずに目標をもって主体的にリハビリに取り組む
脳にダメージを負う脳梗塞について、ご理解いただけたでしょうか?
脳梗塞は複数の症状を同時に発症することがほとんどで、精神的にも落ち込みやすい方も多いかと思いますが、諦めずにリハビリに取り組むことで、きっと今とは違った状態になれるはずです。
一緒に伴走できるセラピストが身近にいなければ私がご相談に乗らせていただきます。
ぜひ、お問い合わせください。