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リハビリ後に痛みが出るのは普通?

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リハビリテーションは、ケガや病気、手術後の回復を支援する重要なプロセスです。

しかし、リハビリ後に痛みを感じることがあるのも現実です。

この現象は多くの患者さんにとって不安や疑問を招くことがありますが、なぜリハビリ後に痛みが生じるのか、またその対処法について理解しておくことが、回復への近道となります。

今回は「リハビリ後に痛み」が生じる理由と、その管理方法について詳しく解説します。

リハビリの目的と痛みの関係

リハビリの目的は、体の機能を回復させ、生活の質を向上させることです。

ケガや手術後、長期間動かしていなかった体の部位を再び動かすため、筋肉や関節は一時的に負荷をかけられます。

この過程で、痛みが発生することがありますが、これは必ずしも悪いサインではありません。

リハビリでは、体を無理なく動かすことを目的としており、筋力強化や可動域の拡大を目指しますが、体がその刺激に慣れていないときは痛みを伴うことがあります。

例えば、硬くなった筋肉や関節に対して急激に動かしたり、負荷をかけたりすることがあるため、その反応として痛みを感じることがあるのです。

痛みが生じる主な理由

リハビリ後に痛みが発生する原因には、いくつかの要因が考えられます。

以下のような要素が痛みの原因となることがあります。

1. 筋肉や靭帯の再適応

ケガをした部位は、一定期間使わなかったり、固定されたりすることが多いです。

その間、筋肉や靭帯は弱くなったり、硬くなったりします。

リハビリを通じて、それらを再び動かすことになりますが、その過程で筋肉や靭帯に負荷がかかり、痛みが生じることがあります。

2. 神経の反応

神経が損傷している場合、リハビリによって神経が刺激されることで痛みを感じることがあります。

この神経の反応は、回復過程の一部である場合が多いですが、しばしば鋭い痛みやしびれを引き起こすことがあります。

3. 関節の動きの回復

関節の可動域を回復するためのリハビリでは、関節の動きが再びスムーズに行えるようになることを目指しますが、硬直した関節や周囲の組織が引き伸ばされると、痛みが伴うことがあります。

この痛みは、一時的なものとして自然に治まることが多いです。

4. リハビリの過剰な負荷

リハビリが進むにつれて、少しずつ運動量を増やす必要があります。

しかし、リハビリを進めすぎると、過度な負荷がかかり、炎症を引き起こして痛みが生じることがあります。

無理な運動量や頻度でリハビリを進めることは、逆効果を招くこともあるので注意が必要です。

痛みへの対処法

リハビリ後の痛みは一時的なものであり、適切に対処すれば回復への大きな助けとなります。

痛みを管理するためには、以下の方法が役立ちます。

1. 痛みの原因の評価・確認

なぜ痛みが出ているのか?

どの部位に痛みが生じているのか?

どんな動きやタイミングで痛みがあるのか?

まずは可能か限り痛みの原因をしっかり把握することで、その後の対処がより正確におこなうことができ、痛みの改善につながりやすくなります。

痛みの評価・確認は一人ではわかりにくい場合があります。

専門のセラピストや医師に確認していただくことをお勧めします。

1. 適切な休息

リハビリ後に痛みを感じた場合、適切な休息を取ることが重要です。

過度な負荷をかけることなく、体を休めることで、筋肉や関節は回復を促進します。

また、休息を取ることで炎症が抑えられ、痛みが軽減することもあります。

2. アイシング

アイスパックを使って痛みを和らげる方法も有効です。

リハビリ後に痛みが出た部分にアイスパックを当てることで、炎症を抑えることができます。

痛みがひどくなる前に早めに冷やすことが効果的です。

3. ストレッチとウォームアップ

リハビリ前後に適切なウォームアップとストレッチを行うことで、筋肉や関節を柔軟に保つことができます。

これにより、リハビリ中の負荷が軽減され、痛みが起きにくくなります。

リハビリの前に軽く体を温めることで、痛みの予防にもつながります。

4. 痛み止めの使用

痛みが強い場合は、医師の指導に従って痛み止めを使用することができます。

消炎鎮痛薬(NSAIDs)などを適切に使うことで、炎症を抑え、痛みを軽減できます。

ただし、自己判断での薬の使用は避け、必ず専門家の指示を仰ぐことが大切です。

5. リハビリの進行管理

リハビリは無理なく進めることが重要です。

痛みを感じたときは無理に続けず、理学療法士や医師と相談して、運動量や強度を調整することが求められます。

リハビリの進行は個人の状態に合わせて行うべきであり、痛みを軽減しながら回復を目指すことが大切です。

リハビリ後の痛みを予防するために

リハビリ後に痛みが生じることは、回復過程の一部として避けられないこともありますが、予防策を講じることでその頻度を減らすことができます。

リハビリを始める前には、十分な情報を得て、専門家の指導を受けることが大切です。

また、日常生活での姿勢や動作を改善することも予防には有効です。

適切な姿勢を保つことや、体に負担をかけないような動き方を意識することで、リハビリ後の痛みを減らすことができます。

まとめ

リハビリ後に痛みが生じることは、体が再び機能を回復しようとしている過程の一部です。

この痛みは一時的なものであり、適切な対処と進行管理によって、回復が加速することが期待できます。

痛みを感じたときには無理をせず、休息を取ったり、医師や理学療法士に相談することが大切です。

リハビリを進める中での痛みは、必ずしも悪い兆候ではなく、回復への一歩を踏み出している証です。

焦らず、体のペースに合わせてリハビリを進めていくことが、最終的な回復につながります。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手