コラム COLUMN
パーキンソン病で腰が曲がる?原因と効果的なリハビリ運動を解説
「パーキンソン病による腰曲がりを改善したい」
「前を向いてしっかり歩けるように、家でできる運動を知りたい」
このように考えていませんか。
パーキンソン病によって体が徐々に動きにくくなり、腰を支える筋力の低下などにによって、腰が曲がることがあります。これを「腰曲がり」と呼びます。
腰曲がりを放置すれば、姿勢が悪くなり腰背部に痛みが出たり、転倒しやすくなったりするのです。
この記事では、以下のトピックについて解説します。
- 腰曲がりとは
- パーキンソン病による腰曲がりの治療方法
- 自宅でできるパーキンソン病による腰曲がりに対する運動
記事を読めば、パーキンソン病の腰曲がりに効果的なリハビリメニューがわかります。
「リハビリによって腰曲がりを改善したい」という方は、ぜひ参考にしてください。
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目次
腰曲がりとは
腰曲がりとは、本来あるはずの腰の反りがなくなることで、腰がまっすぐあるいは後ろに弯曲した結果、腰が曲がった状態をいいます。
パーキンソン病による腰曲がりは、歩行や立位時にみられやすく仰向けになると改善するのが特徴的です。
以下に、パーキンソン病になると腰曲がりになる原因と症状について説明します。
パーキンソン病になると腰曲がりになる原因
パーキンソン病になると腰曲がりになる原因は多数あります。代表的な原因は以下の7つです。
- 腹筋や背筋の筋力低下
- ジストニア
- 固縮
- 固有受容感覚の障害
- 空間認知の異常
- 局所性ミオパチーによる筋力低下
- 薬物療法の副作用
主な原因は、腰を支える腹筋や背筋の筋力低下によるといわれます。本来は、腹横筋や脊柱起立筋などが腰を支えますが、病気により筋力低下が起こると腰曲がりを招きやすくなります。
他の原因として、バランス感覚に関与する固有受容感覚の障害や、体の傾き加減といったボディイメージを感じる空間認知の異常、筋肉が硬くなるジストニアや固縮、一部の筋力が弱くなる局所性ミオパチーによる筋力低下、薬物療法の副作用などがあげられます。
これらの原因が複合的に起こり、腰曲がりが起こると考えられています。
腰曲がりによる症状
腰曲がりによる症状は主に以下の6つです。
- 腰背部の痛み
- 長時間の歩行がつらい
- バランスをとりにくい
- 腰の神経障害による下肢痛や痺れ
- 心肺機能の低下
- 逆流性食道炎
腰曲がりは腰を支える腹筋や背筋の筋力低下により起こるといわれ、体を起こすのが難しくなります。その状態が続くと、腰背部の筋肉は緊張状態が続き、血流不良による痛みが起こりやすくなります。
パーキンソン病は、バランス感覚を司る固有受容感覚が鈍くなるためバランスをとりづらくなります。それにより歩行時にふらつくことで、長時間の歩行をつらく感じやすくなります。
腰曲がりや加齢により背骨に負荷がかかると背骨を構成する椎体が変形し、腰の神経を圧迫しやすくなります。それにより、下肢痛や痺れを伴う場合があります。
さらに、腰曲がりにより肺が圧迫されると取り込む酸素量が少なくなり、運動時の疲労感を感じやすくなるのです。
また、胃が圧迫されると、胃液が食道に逆流し炎症を起こす逆流性食道炎を招く可能性があります。
パーキンソン病による腰曲がりの治療方法
腰曲がりの治療の目的は、パーキンソン病による腰曲がりの症状緩和に努め、生活の質を維持もしくは改善させることです。腰曲がりの治療方法は以下の2つです。
- 理学療法
- 作業療法
それぞれ見ていきましょう。
理学療法
理学療法では、硬くなっている筋肉のストレッチや、力が弱い筋肉に対して筋力訓練を行い、起き上がりや歩行などの基本的動作能力の改善を目的とします。
特に腰曲がりでは、腰を曲げる筋肉である腸腰筋が硬くなり、腰を支える脊柱起立筋の筋力低下が起こりやすいため、各筋肉に対してストレッチ、筋力訓練を実施します。
また、正しい姿勢を再認識するため、鏡を使用し視覚情報を利用した姿勢訓練や歩行訓練を行います。
作業療法
作業療法は、手指の細かい動きや更衣動作、食事動作などの日常生活動作改善を目的とします。
腰曲がりに対して、腰を伸ばした状態で手指を使う練習をします。
自宅でできるパーキンソン病による腰曲がりに対する運動
自宅でできる腰曲がりに対する運動は、以下の4つです。
- 脊柱を伸ばす運動
- 脊柱を回す運動
- 脊柱を伸ばす力を保つ運動
- 腹筋の下部を鍛える運動
それぞれ解説します。
脊柱を伸ばす運動
脊柱を伸ばす運動によって、脊柱の柔軟性を改善し腰背部痛の軽減や姿勢改善を期待できます。
以下に方法を説明します。
- 壁に向かって一歩下がって立ちます。
- 両手を壁につけます。
- 両手を壁に沿わせながら、徐々に挙げます。
- 両手を元の位置に戻します。
回数は、5〜10回×1〜3セットを目安に行ってください。
肩がすくんで力まないようにしましょう。
脊柱を回す運動
脊柱を回す運動により、体幹筋の柔軟性向上を図り、姿勢やバランス能力の改善を期待できます。
以下に方法を説明します。
- 椅子に座り、顔をできるだけ正面に向けます。
- 両手を胸の前でクロスに組みます。
- 後ろを振り向くように、ゆっくりと体を回します。
- 反対方向に体を回します。
回数は、左右10回×1〜3セットを目安に行ってください。
両手を組む位置は、柔軟性に余裕があれば頭の後ろで組んでみてください。
体を回す際に、腰を反らないようにしましょう。
脊柱を伸ばす力を保つ運動
脊柱を伸ばす力を保つ運動を行うことで、腰を支える筋力を向上し、姿勢改善や腰背部痛の軽減、心肺機能の改善を期待できます。
以下に方法を説明します。
- 両手・両膝をついた四つ這いの姿勢をとります。
- 右手を前方に、左脚を後方に上げて5秒止めます。
- 同じく左手、右脚を上げて5秒止めます。
- 交互に繰り返します。
回数は、左右10回×2〜3セットを目安に行ってください。
手脚を同時にあげるとふらつく場合は、脚のみ上げてみましょう。
転倒しないよう無理をせず行いましょう。
腹筋の下部を鍛える運動
腹筋の下部を鍛えておくと、腰が安定しやすくなり姿勢改善や歩行の安定化が期待できます。
以下に方法を説明します。
- 仰向けになり、両手を体側に伸ばし両膝をたてます。
- 足踏みのように片方の股関節を90°に曲げます。
- 反対側の股関節を同じく曲げます。
- 交互に繰り返します。
回数は、左右10回×2〜3セットを目安に行ってください。
運動中は、腹筋の下部に力を入れ続けましょう。
関連記事:パーキンソン病のリハビリメニューを紹介|効果的な運動とは?
まとめ
パーキンソン病とは、体が徐々に動きにくくなる神経の病気であり、腰曲がりは病気の影響で腰を支える筋力の低下や、筋肉が硬くなることで起こるといわれます。
腰曲がりになると、腰背部痛や長時間の歩行につらさを感じたり、心肺機能が低下したりなどの症状が生じます。
パーキンソン病自体をリハビリで改善することは困難ですが、腰曲がりによって起こる症状緩和のためにリハビリで大切なことは、脊柱の柔軟性向上と腰を支える筋力強化です。
リハビリ内容は、脊柱を伸ばす運動や脊柱を回す運動、脊柱を伸ばす力を保つ運動、腹筋の下部を鍛える運動があげられます。
リハビリ効果は、腰曲がりの症状を自覚してから早い段階で治療を受けた方が効果を得やすいといわれます。
そのため、症状を自覚した際は、早期に専門家の治療を受けることをおすすめします。