コラム COLUMN
パーキンソン病のリハビリメニューを紹介|効果的な運動とは?
「パーキンソン病の進行を遅らせながら今の生活を続けるにはどんな方法があるのだろうか?」
「家でリハビリをしたいが、どんな運動がいいのだろう?」
このように考えていませんか。
パーキンソン病とは、体が徐々に動きにくくなる難病です。しかし、薬とあわせてリハビリを適切に実施することで病気の進行を遅らせる効果があるといわれています。
この記事では、以下のトピックについて解説します。
- パーキンソン病のリハビリとは?
- パーキンソン病のリハビリの種類
- 自宅でできるパーキンソン病のリハビリメニュー
- パーキンソン病のリハビリを成功させるためのポイント
この記事を読めば、パーキンソン病に効果的なリハビリメニューがわかります。
「リハビリを行い、病気の進行を遅らせたい」という方は、ぜひ参考にしてください。
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パーキンソン病のリハビリとは?
パーキンソン病とは、脳の神経細胞の障害によって筋肉の柔軟性が徐々に減少し体が動きにくくなる進行性の病気であり、様々な症状が起こります。
以下に、パーキンソン病の症状と、リハビリの目的について説明します。
パーキンソン病の症状
パーキンソン病の代表的な症状は、以下の通りです。
- すくみ足
- 姿勢反射障害
- 嚥下機能の低下
- 巧緻性の低下
それぞれ見ていきましょう。
すくみ足
すくみ足とは、足を踏み出そうとした際に足が床に張り付いたような状態になり、一歩目が出にくくなることです。
特に、歩き始めや方向転換時、狭い場所を通る時、目標物へ近づく時に起こりやすい症状です。
歩行時に一定のリズムを保つため掛け声をかけたり、歩幅に合わせて線を引きマーキングしたりすることで歩行の改善につながります。
姿勢反射障害
姿勢反射障害とは、バランスを崩した際に姿勢を立て直すのが難しくなることであり、転倒の原因になりやすい症状です。
転倒予防のため柔軟性や筋力、バランス能力の向上が大切です。
嚥下機能の低下
飲み込むことを「嚥下」といいます。パーキンソン病によって筋力が低下し、飲み込む力が弱ってきたり、頭が下がったような姿勢になったりすると食べ物を上手く飲み込むことが難しくなるのです。
それにより、食道へ通るはずだった食べ物が気道へ入ってしまい、誤嚥性肺炎を起こすことがあります。
舌の運動や嚥下しやすい姿勢の獲得が大切です。
巧緻性の低下
手指の細かい動きを「巧緻性」といいます。「ボタンをかける」「箸を使う」といった動作がしにくくなることがあります。
日頃より手指を動かしたり、手指や腕の柔軟性を保つことが大切です。
関連記事:パーキンソン病で首が下がる?原因と効果的なリハビリ運動を解説
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パーキンソン病のリハビリの目的
パーキンソン病のリハビリの主な目的は、以下の3つです。
- 転倒予防
- 筋力、柔軟性の維持
- 活動量の維持
パーキンソン病の特徴的な姿勢は前傾姿勢です。前傾姿勢は歩行や立ち上がりの際、前方へ転倒しやすくなります。また、病気の影響で筋肉の柔軟性が減少し、体が硬くなります。
転倒への恐れや体が硬くなることで活動量の減少を招きやすくなるのです。これらを改善・予防するためにリハビリが必要です。
パーキンソン病のリハビリの種類
パーキンソン病の症状は、すくみ足といった動作の障害や嚥下障害、日常生活動作の障害など多岐にわたります。
それぞれの症状に合わせたリハビリを受けることで、効果が期待できます。
パーキンソン病のリハビリの種類は、以下の3つです。
- 運動療法
- 作業療法
- 言語療法
それぞれ説明します。
運動療法
運動療法は、歩行や立ち上がりといった日常生活を送る上で必要な動作改善を目的とします。
すくみ足や姿勢反射障害に対して歩行訓練やバランス訓練などを行い、転倒予防や活動量の維持を図ります。
作業療法
作業療法は、食事や着替え、家事など生活に関わる動作改善を目的とします。
生活環境や動作方法は一人ひとり異なるため、それらに合わせて動作練習を行い、現在の生活を継続できるように支援します。
言語療法
言語療法は、嚥下や発声といった各機能の改善、誤嚥による誤嚥性肺炎の予防を目的とします。
嚥下障害や発声障害に対して、嚥下に適した姿勢指導や座面の調整、とろみ食などの食品調整、舌の運動、呼吸筋の筋力訓練、表情筋のリラクセーションなどを行います。
自宅でできるパーキンソン病のリハビリメニュー
リハビリは日々積み重ねが効果を左右します。自宅で安全に行えるリハビリメニューがわかれば継続しやすくなるでしょう。
自宅でできるパーキンソン病のリハビリメニューは、以下の5つです。
- 体幹や足のストレッチ
- 歩行訓練
- バランス訓練
- 筋力トレーニング
- 食事や着替えなどの動作訓練
順番にみていきましょう。
体幹や足のストレッチ
ストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を維持・改善し、歩行や立ち上がりなどの動作改善、転倒予防を期待できます。
以下に、体幹と足のストレッチをそれぞれ説明します。
体幹のストレッチ
- 椅子に座り足の裏をしっかり床につけます。
- 両手を頭の後ろで組みます。
- 後ろへ振り向くように上半身をゆっくり捻ります。
- 20秒保持します。
- ゆっくり戻して反対側へ捻ります。
足のストレッチ
- 壁に両手をついて立ちます。
- 片足を後ろに引き、ふくらはぎを伸ばします。
- 20秒保持します。
- ゆっくり戻して反対側の足を後ろに引き、同じくふくらはぎを伸ばします。
行う回数は各方向2〜3セットを目安とし、朝・昼・晩に行いましょう。
伸ばしている間は息を止めずに深呼吸をしましょう。反動をつけずに、筋肉が伸びていることを意識しながらゆっくりと行ってください。
歩行訓練
歩行訓練を行うことで転倒予防や、すくみ足の改善を期待できます。
以下に方法を説明します。
- 壁など支えのある場所に立ちます。
- 「1、2、1、2」と掛け声をかけながら足を前に踏み出していきます。
歩幅に合わせた線を床に引いておくと足を踏み出しやすくなります。線を引くためにテープを使用しても良いでしょう。
最初の一歩が出にくいときはどちらかの足を一歩後に引いた後、前に踏み出すと動作がスムーズになる場合があります。
踏み出す際は踵から着地し、つま先で蹴り出すように意識して下さい。
転倒に不安な人はノルディック杖の使用をおすすめします。
バランス訓練
バランス訓練を行うことで、転倒予防や歩行の安定を期待できます。
以下に方法を説明します。
- テーブルなどで両手を支えて立ちます。
- 目線を前方に向けます。
- 片足を床から持ち上げます。
- 30秒保持します。
- 同じく反対側も行います。
体が後ろにのけ反らない範囲で足を持ち上げましょう。
持ち上げている間は自然な呼吸で息を止めないようにします。
また、転倒しないように注意してください。
筋力トレーニング
筋力トレーニングを行うことで、前傾姿勢の改善や転倒予防を期待できます。
以下に方法を説明します。
- 両手、両膝をつき四つ這い位になります。
- 片手と、その反対の足を持ち上げます。
- 20秒保持します。
- 持ち上げた手足を入れ替え、同じく反対側の手足を持ち上げます。
この運動で、背筋や大殿筋、腹横筋が鍛えられます。
持ち上げる高さは、バランスを保てる範囲で行いましょう。
持ち上げている間は息を止めないようにしましょう。
腰が反ると腰痛の原因となるので、腰が反らないようお腹に力を入れながら行って下さい。
食事や着替えなどの動作練習
病気が進行するにつれて筋肉の柔軟性が低くなったり、手指の細かい動作がしにくくなったりすると食事や着替えなどの動作に支障をきたしやすくなります。これらの動作練習を行うことで、現在の生活の維持が期待できるのです。
以下にそれぞれ説明します。
食事
食事は、箸やスプーンを掴むなど手指の細かい動作を必要とします。
パーキンソン病の特徴として、手指の一部の関節が反ってくることがあります。症状が進行すると細かい動作に支障をきたすため、ボールなど握る運動を日々行うようにしましょう。
食事の補助として、バネつき箸や太い柄のスプーンなどを使用することも良い方法です。
着替え
着替えは、腕をあげたり足を持ち上げるなど手や足を大きく動かす動作が含まれるため、全身の筋肉の柔軟性が必要です。着替えにくさを実感しても方法次第で、継続して自身で行うことが可能です。
以下に代表的な衣服の着替え方を説明します。
〈かぶり上衣の着方〉
- 頭を通します。
- 片腕ずつ通します。この時、どちらかの腕が動きにくい場合は、動きにくい方の腕から通します。
〈靴下の履き方〉
- 椅子やベッドに座ります。
- 10㎝ほどの台を用意し、その上に足を置きます。
- つま先をあげ靴下をかぶせます。
- 踵を上げ、靴下を踵までかぶせます。
- 踵を下ろし、靴下を引き上げます。
かぶり上衣は、頭から通すことで腕が上がりにくい人でも行いやすい動作です。
靴下は、足が上がりにくい人でも台を使用し、つま先と踵を順にあげることで履きやすくなります。
着替える際は、安定した場所に座り転倒に注意しましょう。
パーキンソン病のリハビリを成功させるためのポイント
パーキンソン病のリハビリを成功させるためのポイントは以下の3つです。
- 無理のない範囲で行う
- 継続する
- 医師やリハビリテーションの専門家に相談する
それぞれ確認していきましょう。
無理のない範囲で行う
パーキンソン病のリハビリは、体が動きやすい時間帯(オンの状態)に行ったり、休憩を入れたりと無理のない範囲で行いましょう。
パーキンソン病の薬を服用すると、オン・オフ現象が起きると言われます。オンの状態は、薬が効いているため体が動きやすい時間帯、オフの状態は効果が切れて動きにくい時間帯です。リハビリは体が動きやすいオンの状態の時間帯に行うようにしましょう。
また、急に動いたり休憩を入れずに続けて動くと、痛みが生じる可能性があります。さらに、急に動くことでパーキンソン病の症状である起立性低血圧が起こる可能性もあります。
適度に休憩を入れたり、急に動かずゆっくり動き始めたりするようにしましょう。
継続する
リハビリの効果を得るには、継続することが大切です。
理想的なリハビリの頻度は毎日です。しかし、運動習慣は簡単に身につくものではないため、まずは週に2〜3回を目安に行いましょう。
リハビリのみでなく、日々の生活の中で体を動かすことを意識していきましょう。
医師やリハビリテーションの専門家に相談する
効果的にリハビリを行うには医師やリハビリの専門家に相談することが大切です。
薬やリハビリの種類は様々であり、一人ひとりによって症状や薬の効果が異なります。リハビリを効果的に行うには、症状を薬でコントロールできていることが大切であり、その上でリハビリメニューを立案します。
まとめ
パーキンソン病のリハビリは、薬とリハビリを適切に組み合わせることで病気の進行を遅らせることが期待できます。
リハビリの内容として、体幹などのストレッチ、歩行訓練、バランス訓練、筋力トレーニング、食事などの動作練習が挙げられます。
パーキンソン病は、筋肉の柔軟性が徐々に減少し体が動きにくくなる病気です。症状は、すくみ足や姿勢反射障害、嚥下障害などです。体が動きにくくなることや転倒への恐れにより活動量が減少しやすくなります。
しかし、自宅でもリハビリを継続すれば、現在の生活の継続が期待できます。
医師やリハビリの専門家の指導のもとリハビリを継続し生活の質をあげていきましょう。