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高齢者のリハビリは実際のところ、どんなことをしたら良いの?

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リハビリというとスポーツで負ったケガを治療する過程で行われるものというイメージを持っている方もいると思います。

実際のところ、私自身も中学生の頃にスポーツでケガをしてリハビリを経験したことがある者の一人なので、そういった一面もありますが若い人にとっては決して日常的な経験ではありません。

しかし、リハビリを提供しているセラピストのほとんどが高齢者に対するリハビリを経験していると思われます。それだけ高齢の方にとってリハビリというのは日常的に行われていることだと考えられます。

そんなリハビリですが、実際に自分自身や家族がこんなリハビリがいいよ、と言っても本当に効果的なリハビリなのかどうかは分からないのではないでしょうか?

今回のコラムはご自身でのリハビリ方法が分からない方やそのご家族様を対象に、読んでいただくと以下のことが分かります。

高齢者がリハビリをする原因となる病気やケガについて

高齢者のリハビリの実際

高齢者のリハビリで気をつけるところ

ご家族やお知り合いの方でリハビリで困っている方がいらっしゃるようでしたら、ぜひご参考にしてみてください。

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高齢の方がリハビリをする原因

高齢になると様々な病気やケガを罹患するリスクが高まりますが、どんな病気やケガでリハビリをすることになっているか、ご存じでしょうか?

高齢者のリハビリについての状況や今後の方向性についてはコチラをご覧ください。

特に症状や状態が長期化しやすい疾患としては、脳卒中(脳梗塞・脳出血)が代表的です。
他にも大腿骨骨折、腰椎圧迫骨折、心不全、呼吸器疾患、ガンなど様々な疾患によってリハビリを行っています。

これら疾患は、主に身体的な機能低下を引き起こすために理学療法士や作業療法士、言語聴覚士によってリハビリが行われます。

理学療法士

主に病気やケガによる筋力や体力の低下、姿勢の悪化、移動等の動作能力が低下した場合にそれらを改善するために運動療法と呼ばれる、状態に合わせた運動・トレーニングをおこなう職種です。

作業療法士

病気やケガによって、日常生活動作(更衣や入浴などの日常生活で必要な動作)やその他その人個人が生活する場合において必要となる動作(料理や掃除、趣味活動など)が行えない状態になった際に、再び行えるように動作の練習や代替手段を提案する職種です。

言語聴覚士

主に脳卒中などの神経疾患による、コミュニケーションに問題がある方、高次脳機能障害がある方、誤嚥のリスクが高い方に対して、評価やそれらの症状を改善するための専門的な訓練を行う職種です。

それぞれの職種が各々の役割を果たし、高齢者のリハビリを実施しています。

しかし、高齢になると単純な病気やケガの症状だけでなく、加齢による心身機能の低下があるために複合的な症状をきたすため、これらの職種が連携してリハビリにあたることも多くなります。

高齢になると症状が複合的

前述もしましたが、高齢者は加齢に伴う心身機能の低下により様々な症状を引き起こすリスクが高まっている状態と言えます。

ただの骨折でも、そこから姿勢が悪化し誤嚥性肺炎になって亡くなってしまう、という事も珍しくはありません。

これまで大きな病気やケガをしたことがない方でも、若いころに比べると体力も衰えている方がほとんどです。その状態での入院が必要なほどのケガや病気は、心身状態を著しく低下させる恐れがあります。

リハビリでは複雑な状態に対して可能な限り改善できるように行われています。

一部、医師の指示により安静を余儀なくされている場合もありますが、こういった場合を除き、できうる範囲でのリハビリが提供されています。

実際にどんなリハビリが良いのか?

高齢の方の心身状態は100人いれば100通りであるように、全く同じという状態が存在しません。そのため、これだけは絶対にしておきましょう!という運動があったとしても、同じようにできない方も多くいらっしゃいます。

そのため、高齢者の状態を●段階で表しそれぞれで意識する点をご説明します。

また、以下の段階すべてにおいて運動量・負荷量については、「若干疲れた」「わずかにしんどいな」と感じる程度まで大丈夫です。

また、病院や施設ないで行う際には病棟でどの程度動いてよいのか、各患者さま毎に把握されています。ベッド上で安静にしてなければならない方が、勝手に起き上がってしまうと転倒やその他のリスクが高まる可能性があるため、事前に確認してください。

A,廃用状態を脱する

廃用状態とは、身体を動かさない時間が長くなることで、筋肉や心肺機能、認知機能が低下してしまうことを言います。

状況としては、ベッド上で寝たきりになると廃用状態が進行していきます。そのため、まずは上半身を起こし、座れる状態であれば車椅子や椅子に腰掛けるところから始めましょう。「座る」ということだけでも大変な方にとっては、十分運動になりえます。これくらい大丈夫だろうと過信しないことがポイントです。

また、その状態も難しければ、ベッド上で動かせる部分(手足や体幹、頭など)を積極的に動かしていきましょう。特に重り等は必要ありません。片脚を持ち上げる、バンザイするなどの動きを何度か反復することが大切です。

B,身体を起こした状態での運動を取り入れる

ベッドから起きていられる時間が長くなってくれば、座って運動する時間を増やしましょう。車椅子を自分で漕いだり、膝伸ばしをしたりと、体力や筋力を付けていくイメージです。いきなりたくさんの運動を行うと翌日以降に響く可能性もあるので、1日1日様子を見ながら運動量を増やしていくことをオススメします。

C,立ち座りの練習する

具体的な運動方法となりますが、もっとも全身的な運動であるため、適切に食事を取り運動することで体力・筋力の改善が見込めます。ただし、場合によっては介助が必要なこともあるため、安定してできるようになるまでは無理して行わないようにしましょう。

ご自身あるいはご家族とでリハビリを行う場合、AとBが基本となります。C以上のこと(立っていられる、歩くことができる)ができる方は、基本的には立ち座り練習がオススメです。基本的な動作であることと、自分でしっかり立ち座りできる状態を維持することは、活動範囲を維持することにも繋がるためです。

高齢者リハビリの注意点

前述もしていますが、高齢になると心身状態の衰えから様々な症状を引き起こすリスクが高まっていると状態となります。

この状態でのリハビリは気をつけなければならない点も多くありますので、1つずつご説明していきます。

血圧などの循環器状態の異常

血圧は気にしている方も多いのでイメージしやすいのではないでしょうか?

高齢になると血管自体が固くなり、血圧も上がりやすくなります。

心拍数についても、状態によって脈が異常に早くなったり、遅くなったりと個人差が大きくなりやすいのが特徴です。

大事なことは安静状態からの変化量を大きくしすぎないことです。

安静状態とは、少なくとも10分以上は動かないで座る、あるいは寝た状態でいることです。

また、しんどいと感じる程度も人によって異なります。

「少し疲れたな」くらいまでに留めるようにすることもポイントです。

転倒による骨折

転倒の発生する要因としては、筋力の低下だけでなく、視力、聴力などの五感、バランス能力、危険を認知する脳の機能の低下、環境要因、あるいはこれらが複合的に重なることで、転倒しやすくなります。

逆を言えば、これらの要因を改善するようにすれば、転倒のリスクを低下することが可能となります。

すぐにできるところで言えば、環境を変えることなど運動する環境は安全か?今一度確認してみてください。

やってはいけない姿勢での運動

これはいわゆる禁忌姿勢と呼ばれる姿勢のことで、脱臼や手術の固定が緩む等のリスクがあります。
例えば、股関節を手術した場合、股関節を屈曲・内転・内旋という姿勢をとった場合に股関節が脱臼しやすくなる場合があります。
自分自身の禁忌姿勢がなんなのか、把握していない方はかかりつけの医師に問い合わせてみてください。

食事がとれていない状態での運動

一般的に考えても食べずに運動すると身体はどんどん痩せていきます。高齢になると食欲が低下し、十分な栄養を摂取することができません。もし、この状態で運動をしても、痩せてしまい動けなくなってしまう可能性があります。

しっかり食事がとれている、あるいは補助栄養食品を摂取するなどして、運動してもエネルギー切れにならないように注意が必要です。

運動しはじめは特に注意

いきなり高負荷な運動をしてしまうと、翌日以降に痛みなどがでて運動を継続することが困難になることも少なくありません。

意外と負荷を高めてもできる!と思い、ついつい張り切ってしまうこともありますが、初めて運動を行う場合は軽めに行いましょう。負荷は翌日以降の反応を見ながら、徐々に上げていくことをオススメします。

高齢者のリハビリは気を付けながらも積極的に!

高齢者のリハビリでは気を付けないといけないこともある一方で、状態に合わせた積極的なリハビリが必要です。何もしない、では身体はどんどん衰えていくことは明らかです。高齢であれば高齢であるほど様々なリスクが増えますが、リハビリをして良くなることに年齢は関係ありません。

良くなりたいと思って、運動を継続できるかどうか、これが大きな鍵をにぎります。

ぜひ参考にして見て下さい。

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小栢 崇裕

【監修者】

株式会社ナッセ / 理学療法士
小栢 崇裕(オガヤ タカヒロ)

プロフィール
新卒で回復期リハビリテーション病院に入職。
その後、2018年4月にナッセへ訪問リハビリ・デイサービス機能訓練指導員として入職。
デイサービスリハビリ部門リーダーとして約20名のセラピストマネジメントやリハビリデータの収集・解析・フィードバックも行う。
研究業績
・第2回日本予防理学療法学術集会
・第36回東京都理学療法学術大会
・回復期リハビリテーション病棟協会 第31回研修大会in岩手